初の12月開催、全米女子オープン特集。

 

  

  コロナが全米を蔓延する中、43日にUSGA64~7日にかけて開催される予定だった2020年度全米女子オープンを何と1210~13日に延期する事をアナウンスしました。トーナメントの中止などからこの開催の延期によって出場資格も大きく変更され、日本勢が何と19名も参加できる結果となりました。

開催されるChampions GCはテキサス州ヒューストン郊外、空港から僅か8km西に位置する最高の立地に1957年からの歴史を誇るプライベートクラブです。

1959年にRalph Plummer設計によるCypress Creekコースがグランドオープンし、5年後の1964年にGeorge Fazio設計によるJackrabbitコースが完成、二つのチャンピオンシップコースを所有するクラブとなり、当時テキサスではフォートワースの名門Colonial CCに次ぐゴルフクラブと評価されるようになります。

今大会の最大の特徴は、冬の短い日照時間を考慮し、予選2ラウンドは所有するこの二つのコースを使用し、どの選手もCypress Creek, Jackrabbitの両コースを1ラウンドずつプレーし、そのトータルスコアの結果で決勝ラウンドに駒を進めるスケジュールの組み立てです。

 

 

クラブ名は通常その地名やSand Hillsなどその土地の特徴、または先住民部族の名称や歴史感から付けられますが、Champions Golf Clubと登録されたクラブ名は欧米でも大変珍しいものです。その理由がテキサスを故郷にする二人のマスターズチャンピオン、Jack Burke Jimmy Demaretによって創設されたクラブだからです。Demaretは戦中を挟み、1940,47, 50年と実に3度グリーンジャケットを手にし、Burke1956年にマスターズと全米プロの二冠に輝いております。決勝ラウンドのコースとなるCypress Creekの造成では旧知のコース設計家Ralph Plummerに二人のマスターズチャンピオンがプレーヤーズ監修に入った事から一躍話題となり、残り僅かのメンバー枠にヒューストンの石油成金たちがメンバーになろうと現金を持って押し寄せた話は有名です。

Cypress Creek では、過去に1967Ryder Cup 1969年に全米オープン、1990, 1997, 1999, 2001,2003年の5度、ツアーチャンピオンシップが開催されました。

 

 

 

Cypress Creekの特徴としてドッグレッグホールが非常に多く、それらは巧みにクリークと池が絡みます。右ドッグレッグホールが3, 7, 9, 13番、左ドッグレッグホールが1, 5, 6, 10番になります。ちなみに13PAR5は戦略的なダブルドッグレッグホールです。高低差僅か14mのコースで、後半の4つのPAR4はストレートなレイアウトのホールです。ツアーチャンピオンシップでは前半はタフなスターティングホールの1番に3番、6, 7番の3つのドッグレッグホールがキーポイントとなりました。

 

 

 

Cypress Creekコースは、GOLF Magazine誌全米TOP100コースに1991(75), 93(83), 95(87)3度ランクアップされ、GOLF Digest誌では1966, 68年に全米タフネスコース200に選ばれ、1969. 71.73年には全米ベストテイスティングコース100に、75年から87年まで全米TOP100コースに選出されています。

コースのタイプとしては1960年代のファストグリーン(高速グリーン)開発に影響されて造られた初期のモダンタイプコースで、PGAツアーや全米アマなどが開催される度にグリーンやクリークの戦略性などが改良され今日に至っています。全米女子オープンもこれまで戦前からのクラシックコースでの開催が中心となり、日本人選手には不利な点が沢山ありましたが、今回のChampions GCはグリーン、フェアウェイともニューバミューダ芝ですが、ドッグレッグポイントを飛距離で攻められる者ならば十分対抗できるはずです。例えば原、笹生選手あたりにも十分にチャンスは生まれるでしょうし、全英の覇者渋野選手も勝機はあるはずです。

 

 

Length, slope and rating for each tee

Tee Par Yardage Slope Rating
Green 71 6086 122 70
Combo 71 6222 125 71.4
Silver 71 7022 131 74.1
Gold 71 6548 127 72.7
Black 71 7410 134 75.8
Green (W) 71 6086 131 75.3
White 71 5532 117 67.8
White (W) 71 5532 125 72.2

 

 

予選ラウンドで使われるJackrabbitコースは、2002年にGeorge Fazioの甥、名匠Tom Fazioが大幅にリノベーションし、コースは見違えるような輝きを放すようになりました。6500ヤード設定ならばCypress Creekとほぼ同じスロープレイティング、コースレイトになりますが、レイアウトのタフさはやはりCypress Creekが勝ります。Jackrabbitでどれだけスコアを伸ばせるかが予選のキーとなるでしょう。さあ今年最後のメジャー大会が始まります。

 

 

Length, slope and rating for each tee

Tee Par Yardage Slope Rating
Red 71 5930 124 68.9
Blue 71 7021 135 74.2
White 71 6522 129 71.9
White (W) 71 6522 133 74.7
Red (W) 71 5930 122 71.2

 

 

 

 

 

Text by Masa Nishijima

Photo & Reference Data by Champions GC, Golf Texas.com.