ゴルフ社会もニューノーマルな時代に突入か

 

 

   ロックダウン解除と共にゴルフも解禁になった英国。23日にリオープンを決定していたアイルランドより一足早くなった。これには驚いた。

感染リスクの高いクラブハウスの使用は現状ではまだ認められない。接触感染は絶対に避ける手段として、R&Aのガイドラインに載ったのがバンカーレイキは置かず、カップは出来る限り、表に少し出し、球は入らずに当たればカップインとする等の改良案、そして注目すべきポイントは2サムプレー、ティやグリーンでのソーシャルディスタンスが間違いなく行われる境界線、米国ではNGFやUSGAが2サム、3サム、4サムのソーシャルディスタンス、接触感染率の差を紹介していたが、英国のゴルフ場の多くは暫く家族以外2サムを徹底していくようだ。当初英国は全英オープンの中止決定等からゴルフ解禁は6月半ばと予想されていたが、アイルランドの解禁日を意識したのだろうか。一月早い嬉しい再開となった。

 

 

フランスは3サムまでのスタイルをニューノーマルな環境に置くと述べる。ロックダウン解除後のフランスは感染率の低いグリーン表示の州のみ、ゴルフコースは再オープンされている。

ドイツなど他のロックダウンが解けた国は続々とゴルフコースは解禁されている。そう、屋内スポーツでないゴルフは個人競技のマリンスポーツ同様に、しっかりとしたルールを守れば最も感染リスクが低いスポーツかも知れません。

 

米国は市営などのパブリックは州や郡が定めた法則に従わなければならないが、プライベートクラブなどは各クラブにより異なるようです。歩行が難しい条件のゴルフ場では乗用カートが使用されているが、それも一人一台と徹底しています。仮に4サムならば、一度にカートが4台もフェアウェイ内を走ることになるが、歩行を基本とする本場英国や欧州大陸のゴルファー達には、クールな光景には映らないでしょう。ただ州によっては4名以上の集まりは禁止されています。

 

 

GOLF Atmosphere No.63でもお伝えしましたが、メジャー大会の相次ぐ延期と中止、米国ではPGAツアー、LPGAツアーも全て6月以降に開催が延期される中、それに先立ち5月16日にコロナウィルス医療関係者へのチャリティとしてフロリダの名門セミノールGCでチャリティスキンズマッチが開催されました。

 

 

ダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイのチームとリッキー・ファウラー、マシュー・ウルフのチームによるフォアボールによるスキンズマッチです。そしてTVに写し出された彼ら4人の姿に、世界中のゴルファー達は自分達がニューノーマルな時代のゴルフ社会に入ったことを認識したかも知れません。コロナ対策の一環として、あのトッププロ達がキャディ無しでの担ぎプレー、ヤーデージの確認やグリーンのスロープの計測、彼らが今世紀に入り最も進化した用具と言われる測定器で確認しているその光景は衝撃的でした。PGAツアーがツアーキャディたちへの救済金を出したばかりの中、このスキンズのプレーシステムは、今後コロナウィルスが2波、3波と続くかも知れないその環境下の中で、我々はどのようにゴルフに取り組み、そのプレースタイルに様々な対策を考えなければならないでしょう。

 

感染を防ぐ事からセルフプレーが安全とされる中、戦前からの古き名門クラブ等では、メンバーやゲストからのチップが稼ぎとなるキャディ達の生活補償をする為に、シングルキャディー(キャディ一人が一人のメンバーに付く)を徹底するクラブもあります。ゴルフ史に登場するスコアは、プレーヤーとキャディの共作によるゴルフ文化の賜物なのです。多くのメンバー達はキャディがバッグを担ぎ、ヤーデージやグリーンのパッティングラインを測るだけのパートナーとして見ていません。昔から彼らはクラブハウスに入れる事は出来ずともホームクラブの家族と考えられているのです。

ミネソタ州ミネアポリス郊外のヘイゼルティンナショナルは1962年に開設されたクラブですが、これまでに全米オープンなど数々のメジャー大会が開催されました。このクラブのロゴがバッグを担ぐキャディのシルエットなのです。

 

 

セルフプレーが主流となっていく中、私たちは今一度キャディの存在とその価値を改めてみましょう。彼らもゴルフ史に登場するレジェンズなのです。キャディを守ること、キャディと共にゴルフライフを送ることもプライベートクラブならば重要な定めなはずです。

 

コロナウィルスの発生源とされる中国は第1波が収束の方向に向かっていますが、もう北京や上海のゴルフ場には大勢のゴルファーが押し寄せているとの情報です。そこではクラブハウスの一部使用は不可となるニューノーマルなスタイルでゴルフが始められているようですが、彼らのキャディへの依存度は高く、送られてくる写真を見る限り、これまでとあまり変わらない光景のようです。日中ゴルフ界の架け橋役としても知られる北京在住35年の高橋秀樹氏によると、中国で最初のゴルフブームが起こったきっかけは2003年のサーズが蔓延したことがその要因らしい。それまで屋内が主流とされていたスポーツ人口は密空間でない屋外のゴルフに流れてきたそうです。

サーズをキッカケに中国のゴルフ場建設ラッシュは一気に始まったわけです。

 

さて話題をゴルフ練習場に移しましょう。緊急事態宣言中の最中、河川敷の練習場に大勢のゴルファーが集まり、空撮されたその映像は屋外とはいえど密の光景そのものでした。しかし協会側からのガイダンスが出される前からソーシャルディスタンスを第一に感染防止策を徹底している練習場も数多くありました。ここで杉並区在住の紺井プロからお借りした某練習場の写真をご紹介しましょう。受付から最後の清算までの流れがワンウェイになり、人が交差しないよう努めています。また打席間も1打席空けてソーシャルディスタンシングを徹底しています。

 

  

 

 

TV報道もこのような感染防止策への取り組みなど取材してもらいたいものです。

日本社会におけるゴルフ、特にメディアからは必ずしも健全なスポーツとは捉えられていないようです。ゴルフをされない方たちにとってもゴルフは「特定な人たちの遊び場」バブル期のゴルフ場の怪しきイメージは、米国でタイガーウッズが登場してもそれはプロの世界の出来事で、一般のゴルフへのイメージは変わらないままだったように感じます。宮里藍さんや石川遼君が登場した頃、ゴルフをされない方までもが観衆となり、ゴルフトーナメントも野球やサッカー、相撲の域に達した感はありましたが、やはり何か一つ事件が起こるとまたすぐに元のイメージに戻されてしまう。

それだけに現在のコロナウィルスの環境下でのゴルフ場の運営には、万全な感染対策を持って取り組んで頂きたいと願うばかりです。

新しいプレースタイルに、ゴルファーの意向を取り入れるならば、運営する側も厳しいルールとマナーを厳守してもらうよう指導していくべきです。ゴルフ場が感染のルートになってはいけません。

大恐慌の時も、大戦があっても、リーマンショックが起こっても、ゴルフは消えることはありませんでした。特定な人たちの遊び場ではないことの証明でもあるはずです。

今回のコロナウィルス問題は、ゴルフ界に大きなチャンスを与えてくれたと考えるべきです。各々がテーマを持って取り組んでいけば、これまで日本のゴルフ界が形式に縛られ行えなかった事、それによってゴルファーたちが持てなかったものものを探り出せるはずです。

ゴルフ社会には歴史、文化があります。もしゴルフに教養があるとするならば、それは語り継がれていく中から生まれます。そしてそれは次の世代へと継承されていかなければなりません。

  

 

 

 

真のプライベートクラブとは?

 

 

米国のプライベートゴルフクラブには3つのキャラクターの違いがあります。

 

1. 戦前からの歴史を継承しているゴルフクラブ

 

2. 1960年アーノルドパーマーの登場によって沸き起こった第2期ゴルフブーム

期に誕生したゴルフクラブ

 

3. 1995年以降、IT革命後モダンクラシックコース設計をテーマに僻地でも条件

の優れた土地に開発されたゴルフクラブ等。

 

入会するのに厳しく、Waiting Listに登録し何年も待たなければならないのが

戦前からのクラブで、次が260年代に完成されたゴルフクラブでしょう。

 

メンバーフィは、1又は2の半数のクラブは日本でいう社団法人クラブに似た扱いで、入会金制度(Initiation Fee)+年会費で、入会金の中には20~35%程度の預託金を含んでいるクラブもあります。それはクラブ脱会をする際に払い戻されます。

 

オーガスタナショナルの入会金は25~50万ドルの間と噂され、年会費は2万ドルとの話も聞きますが、マスターズでの収益は莫大な額です。メンバー数は300+2名の女性会員です。

ここは脱会時に払い戻される預託金制度はありません。

 

NY州ロングアイランドの名門シネコックヒルズはメンバー数285名、入会金15万ドル、年会費は1万ドル、ここも脱会時に払い戻す預託金制度はありません。隣接するナショナルリンクスオブアメリカは、メンバー数280人、しかしながら入会金など一切公にしていない超名門クラブです。近郊のメイドストーンクラブはメンバー数250名、入会金25万ドル、年会費は数年前に大幅なリノベーションをした事から現在2万ドルになっています。これがロングアイランドの3大名門クラブです。

 

コース面積が125エーカーとUS Openコースとしては最も小さいMerion GC EastコースはWestコースと合わせ、36ホールでメンバー数560名、入会金、年会費は公式に伝えられていませんが、年会費はここも大幅なリノベーションをした事から3~5千ドルのアップとなったようです。バルタスロールGCUpper, Lowerコースの36ホールから同様に500名のメンバー数です。

世界ナンバー1コース、パインヴァレーGC18ホールながら、メンバー数は700名以上と言われ、半数以上が地元ではなく、外国からのインターナショナルメンバーも大勢います。うち、近郊の都市フィラデルフィアなど企業、例えば日本の日立はここの法人メンバーでありました。日本人では川田太三氏がメンバーです。700名を超えるメンバー数とて、地元でないメンバーたちは年に2~5回のクラブ訪問ですから、決して混み合う事はないようです。

パインヴァレーはメンバーとそのゲストの社交クラブとしての歴史があり、メンバーとゲストが宿泊できるロッジに、20年程前に18ホールの名物ホールのアプローチゾーンからグリーンまでをコピーした9ホールのショートコースを造りました。ゲストはそれを前日に必ずプレーし、パインヴァレーの設計哲学とその難しさを学びます。クラブハウスではその日のフルコースディナーを堪能し、翌日の本番に備えます。そのゲストにかかったフィは他のプライベートクラブ同様に全てメンバーのアカウントで精算されます。ゲストが支払うのはヘッドプロが運営するプロショップでの買物だけです。そしてこのクラブはメンズクラブであり、女性は日曜日の午後にしかプレーは出来ません。もちろんクラブハウスやロッジに入館する事も出来ません。

 

かつて競馬場のレーストラックの外と内枠にゴルフコースがレイアウトされた歴史を持つザ・カントリークラブ・ブルックラインは27ホールのコースを所有するカントリークラブですが、メンバー数は推定ですが1,000人と言われ、入会金、年会費は一切公表されていません。

中部の名門、北米で最初の18ホールコースであったシカゴGCは、USGA初代会長であり、本場リンクスからのエスプリを米国クラシックコース設計に注いだC.B.マクドナルドの最初の作品で、メンバー数はゴルフ界及び財界の著名人のみの僅か100名と言われています。

 

名門によってもミシガン北部などプレー期間が半年しかないクラブの入会金は

意外に安く、クリスタルダウンズのように4~8万ドル程度、年会費も4千ドル程度のクラブもあります。またメンバーが全国区に散らばっているコースでは

年間のトータルラウンド数が少ない事から、プレー権利だけを与えるメンバーシステムをとっているクラブもあります。但し彼らはクラブハウスに入る事は出来ません。プロショップにあるゲストルームで靴を履き替えスタートします。

戦前からの歴史あるクラブの中には名門ケネディ家がメンバーである事でも知られるボストン近郊ケープコッドのハイアニスポートクラブは、ドナルド・ロス設計の18ホールコースの他に乗馬、ヨットクラブ、テニスコースクラブと施設を持ち、入会金は75,000ドル、年会費7480ドルの他に、飲食などのミニマムチャージが年1000ドルかかります。現在のメンバー数は490名、名士たちのソサイティクラブとしてその仕切りの高さは有名です。

多くのクラブは年会費を含む全てを12分割、又は冬季のクローズ期間を除く運営期間の月割で請求しているクラブが多いです。日本のように訪問するごとにチェックアウトするシステムを取っているところはあまり見かけません。

 

戦後に誕生した2のクラブは、ソサイティとしてファウンダーが集まり誕生したクラブと1オーナーによって開発されたプライベートクラブがあります。

著名コース設計家だけでなく、スタープレーヤーのネームバリューを設計者名に加え、不動産とのコラボ開発のカントリークラブも登場してきます。ニクラウス設計のミュアフィールドビレッジなどはその代表例でしょう。一つの村の中にコースやテニスコートがある。住宅開発にゴルフ場を付けるプロジェクトはパームスプリングスなど避寒地、避暑地の間で注目されるようになります。80年代後半にはシニア層からも人気が高いカロライナ州のマートルビーチやアリゾナでも開発は進みました。

 

さて日本のクラブではあまりお見受けしないシステムに、キャピタルチャージ(Capital Charge)があります。これはクラブの資産であるコースやハウスのリノベーションなど設備投資に掛かった費用を数年かけてメンバー達で完済するシステムです。米国では1, 2のクラブではよく行われています。例えば300人のメンバークラブがコースのリノベーションに150万ドルを費やしたならば、5年かけて完済するにはメンバー1人辺りの負担は毎年1,000ドルのキャピタルチャージとなります。これはソサイティクラブとしては当たり前のように行われている事で、メンバー全員がコース、ハウスは自分たちの資産だと認識しているからです。名門と呼ばれるクラブになる為の第一条件とも言えるでしょう。

 

3のクラブになりますと、戦前からの名門を継承したメンバーたちの2nd Lifeクラブとして、また主にIT社会の長者たちの集まるソサイティクラブです。開設してすぐに全米TOP10コースに名を連ねたネブラスカのサンドヒルズクラブは地元人口500人足らずのマーレンにはメンバーはおらず、200名のメンバーは全米に散らばっています。メンバーフィも5段階に分かれているらしいがその詳細は伝えられていません。

2003年に開設されたハワイ島のナネアGCは入会金25万ドルで、リーマン後の運営が危惧されましたが、現在もメンバー数は150名には達していないと思います。

これら3のクラブの特徴は入会金が30~40万ドルは当たり前で、リリースした際には何%が返金されるのか、入会後5年はリリースできない等、細かな条件が付けられています。

戦前からの名門クラブが自身のクラブの入会金や年会費を公にしなくなったのは実はこの3のクラブの高額なメンバーシップ制度と対比されたくないプライドからでしょう。

2009年のリーマンショックの時、僅か1年で1,000近くものコースが倒産、閉鎖に追い込まれましたが、その多くはIT革命後に登場した1オーナーによるプライベートクラブでした。それらはオーナーに変わり、メンバーの有志たちが集まり運営を再編成したクラブも多くあります。

彼らのクラブの中には、レギュラー会員ではなく、年次会員を募集し、向こう3~5年後にレギュラー会員にステップアップするシステムをとったクラブもあります。これは豪州の名門コースに多く見られるシステムで、運営を維持する為に、無鉄砲にビジターばかりを入れる方法よりはメンバーのステータスは守れるでしょう。

 

米国のブライベートコースではメンバー同伴とそうでない紹介だけの場合とではそのグリーンフィの差は歴然としています。いずれもメンバーのアカウントで精算されるのですが、例えばシネコックヒルズは同$100ドル、同伴しない場合は$350ドルです。LAの名門リビエラは$175$475(2017年度データ)となっています。またメンバーが500人以上のクラブはメンバーが年間招待できるゲストの数を限定しているケースもあります。例えばパインヴァレーやザ・カントリークラブ・ブルックラインは年間15名、またメンバーは300人未満でもオープン期間が短いクリスタルダウンズやオーガスタナショナルも同様にゲストの数を限定しています。

 

 

Text by Masa Nishijima

Photo by The Society of Golf Historian, Jun Oh Sang, 紺井柾寿,

Masa Nishijima, GOLF.com