米国ゴルフマガジン誌(Website GOLF.com)から隔年ごとにアナウンスされる世界TOP100コース。1983年に世界TOP50からスタートし、85年から今日まで世界、全米TOP100コースを紹介、本年度はコースランキング40周年となります。

TOP100がスタートした1985年度のリストを見ると、2023年度もTOP100のステータスを保っているクラブは僅か48コース、今日まで52コースが落選し、その半数は戦後からTOP100ランキングがスタートした85年までの作品です。その間のモダンコースの作品で、現在もTOP100に君臨しているのは、Casa De Campo(設計Pete Dye)Muirfield Village(設計Nicklaus & Muirhead)だけです。

戦後、芝の研究開発はファストグリーンを誕生させ、パットイズマネーの言葉が誕生したほどでした。その中心にいた設計家がRobert.Trent.Jones Srでした。タフで距離があって、そして戦略性にも富んでいる、当時のコース設計のトレンドは時代と共に変化し、その変化の中で新しい作品と古い作品が入れ替わってきたわけです。本年度のリストから戦後に誕生したTOP100コースは、TOP10では0ですが、TOP50位までに枠を広げると6コース、51~75位の中には8コース、76~100位までには15のモダン及びモダンクラシックの作品が古きリンクス、クラシック時代の名門に対抗するかのようにランクアップしてきました。

これらを合計すると本年度のTOP100コースで戦後に誕生したコースは29コースにしか過ぎません。その理由の一つは古い名門クラブの的確なリノベーション、オリジナル回帰へのレストレーション作業の成功が挙げられます。SFOCalifornia Club, ニューヨーク州のSleepy Hollow, ノースカロライナ州のOld Town Clubなどは過去にTOP100とは無縁だった作品でしたが、改修作業でコースに昔の輝きが蘇り、見事TOP100の仲間入りを果たしています。

TOP100への見事なリターンを果たしたクラブは中国のShanqin Bay, オーストラリアのVictoria GC, スコットランドのMachrihanish3コースで、過去に海外の作品がTOP100に復活した例はありませんでした。新顔として5つのNew Comerが登場し、幻のロストリンクス「Lido GC」を再現したThe Lido Sand Valley, ニュージーランドからTe Arai(South), 南イングランドのオールドリンクスRoyal Cinque Ports, 更にノルウェー北極圏の秘境コース Lofoten LinksやカリブのSt.Lucia島のPoint Hardy GCがランキングに初登場するなど話題が満載となっています。

ではTOP10からご紹介していきましょう。

 TOP10コース

1  Pine Valley USA

2  Cypress Point USA

3  St.Andrews (Old) Scotland

4  Shinnecock Hills USA

5  National Golf Links of America USA

6  Royal County Down N.Ireland

7  Royal Melbourne(West) AUS

8  Oakmont USA

9  Augusta National USA

10  Royal Dornoch Scotland

 

ここでの注目は巨匠Donald Rossの故郷スコットランドのRoyal Dornochが久々にTOP10入りを果たした事です。数年前にコースの改修を行い、その結果が今回のTOP10入りを果たしました。

 

 

 

* Sunningdale GC (Old)       England 

 

TOP1125コース

11 Sand Hills USA

12 Muirfield Scotland

13 Merion (East) USA

14 Pebble Beach USA

15 Fishers Island USA

16 Royal Portrush (Dunluce) N.Ireland

17 Chicago USA

18 Trump Turnberry (Ailsa) Scotland

19 Los Angeles CC (North) USA

20 Tara Iti New Zealand

21 Pinehurst #2 USA

22 Kingston Heath AUS

23 Friar’s Head USA

24 Ballybunion (Old) Ireland

25 Sunningdale (Old) England

 

このランクで注目してほしいのはイングランドのSunningdale GC Oldです。

かつてはTOP40位台で日本の広野と競いあうように並んでおりましたが、コースのレストレーションから毎度ランキングを上げ、遂にTOP25入りを果たしました。日本の広野も同様に頑張り、今回は31位と大健闘の評価でした。

全米オープンが開催されたLos Angeles CC North Course, ニュージーランドのTara Itiはまた今回もランキングを上げています。

#11~#14位までのSand Hills, Muirfield, Merion(East), Pebble BeachはかつてTop10に君臨していたコースです。評価が下がったというよりもOakmontNational Golf Links of Americaなどの評価がそれを僅かに上回ったと理解して下さい。

 

* North Berwick (West Links) Scotland

 

TOP2650コース

26 Prairie Dunes USA

27 Oakland Hills (South) USA

28 Riviera USA

29 Winged Foot (West) USA

30 North Berwick Scotland

31 Hirono Japan

32 Pacific Dunes USA

33 Royal St. George’s England

34 Crystal Downs USA

35 Seminole USA

36 Barnbougle Dunes AUS

37 Lahinch (Old) Ireland

38 San Francisco USA

39 The Country Club (Clyde/Squirrel) USA

40 Carnoustie (Championship) Scotland

41 Morfontaine France

42 Royal Birkdale England

43 Somerset Hills USA

44 Southern Hills USA

45 California Club of SFO USA

46 Swinley Forest England

47 Shoreacres USA

48 Garden City USA

49 St.Patrick’s Links Ireland

50 Maidstone USA

 

* The Lido  Sand Valley Golf Resort   USA 

 

TOP5175コース

51 Ballyneal USA

52 Cabot Cliffs Canada

53 Kawana (Fuji) Japan

54 Sunningdale (New) England

55 Cape Kidnappers New Zealand

56 Cruden Bay Scotland

57 Camargo USA

58 Woodhall Spa (Hotchkin) England

59 Portmarnock (Old) Ireland

60 Bethpage (Black) USA

61 Inverness USA

62 Kiawah (Ocean) USA

63 Prestwick Scotland

64 New South Wales AUS

65 Ardfin Scotland

66 Royal Troon (Old) Scotland

67 Baltusrol (Lower) USA

68 The Lido Sand Valley USA

69 Oak Hill (East) USA

70 Sleepy Hollow USA

71 St. George’s Hill (A&B) England

72 Rye (Old) England

73 Rock Creek Cattle Company USA

74 Royal Lytham & St.Annes England

75 Casa de Campo (Teeth of Dog) Dominica Republic

 

* Te Arai Links (South)    New Zealand

 

TOP76100コース

76 Point Hardy GC * St.Lucia

77 Myopia Hunt Club USA

78 Royal Hague (Haagsches) The Netherlands

79 Cabot Links Canada

80 Winged Foot (East) USA

81 Ohoopee Match Club USA

82 Peachtree USA

83 Les Bordes (New) France

84 Old Town Club USA

85 Te Arai (South) New Zealand

86 Kingsbarns Scotland

87 Nine Bridges S.Korea

88 Lofoten Links Norway

89 Castle Stuart Scotland

90 Bandon Trails USA

91 Whistling Straits (Straits) USA

92 Royal Melbourne (East) AUS

93 Royal Liverpool England

94 Bandon Dunes USA

95 Shanqin Bay ** China

96 Victoria GC** AUS

97 Machrihanish (Championship)** Scotland

98 Muirfield Village USA

99 Yeamans Hall USA

100 Royal Cinque Ports England

 

米国のトータルコース数  49 コース       

米国外のトータルコース数    51コース

(国別内訳)

Scotland  13

England  11

Australia  6

Ireland  4

New Zealand  3

Canada  2

N.Ireland  2

France  2

Japan  2

The Netherland  1

Dominica Republic  1

St. Lucia  1

Norway  1

China  1

S.Korea  1

 

Gossip Report.

 

古き名門の落選はUS オープン時の改造が原因か。

1983年ゴルフマガジンがコースランキングをスタートして以来、TOP100の常連コースとして君臨してきたサンフランシスコのOlympic Club Lake Courseが落選してしまった。2012USオープン時のヤーデージの延長、樹木の伐採によるツリーラインの消滅などコースリノベーションに批評が集まっていたが2年前に名匠Gil Hanseがオリジナル復元をテーマにレストレーションを試みたが、クラブコミッティ側の強い意見もあり、Hanseの描いた大胆な復元作業は行われなかった。名設計家に依頼しながら自分たちの意見を強く求める古いクラブの姿勢は米国にはよくあること。Olympic Clubは残念ながらそのスタンスで折角のHanseの手腕は発揮されなかったように思えます。

 

* Olympic Club Lake Course     USA 

 

モダンリンクス、Cape Wickhamの落選に賛否両論

2015年、オーストリア・キングアイランドに誕生したCape Wickhamは、その海岸線のロケーションに巧みにクラシック設計のテンプレートを取り入れたアイデアが好評を呼び、17年に世界TOP100コースランキングに72位で初登場し、以来60位、70位と順調な評価を得ていました。しかし今回、僅かの得票差で落選してしまった。原因の一つはグリーン、グリーンコンプレックスのスロープとサーフェイスがマッチしていないホールが幾つかあると見られ、それをアンフェアと捉える人もいたようです。この辺りは設計のエッセンスですが一度だけのプレーではなかなか計れない箇所なはず。しかしそれでもこのコースはオーストラリアの新設の中ではBarnbougle Dunes同様に秀逸な作品であることには変わりません。世界TOP100コースのステータスを持ち続けることがいかに難しいかが分かるランキングの側面です。

 

*Cape Wickham   Australia

 

オランダの名門Utrechtse GC “De Pan”の悲劇。

オランダには名匠Harry Coltと日本でもお馴染みのC.H.Alisonがコンビを組んだ大作が5コースもあります。その中の一つ、Utrechtse GC “De Pan”2019年にRoyal Hagueに次いで世界TOP100入りを果たしました。かつて大砂丘が広がっていた台地に造られたRoyal Hagueのスケールには及ばないものの、贅沢なスロープの地形の森にひっそりと佇むColt & Alisonの代表的インランドコースの一つです。Royal Hague同様にColt研究家のオランダ人コース設計家Frank Pontがレストレーションし評価を一気に上げました。コースの骨格を成す18ホールのルーティングの構成は日本のゴルフ場関係者には是非立ち寄り学んでもらいたいクラシック時代が生んだ名匠の大作です。De Panに来てサークル状のシンプルな本当のAlison’s Bunkerを体験できるはずです。

しかし今回のDe Panのランキングは何と#101位でした。ランキングは投票数のアベレージですから投票数が米国内のコースより少ない海外の作品は僅か数名のパネリストがその平均値より低く評価するだけで4~5ポイントのランクダウンは起こります。今回の「De Pan」はその例でした。

100しかない世界TOP100コースの枠、このような事が起こるたびに「では何故某コースはTOP100を保っているのか? 過大評価ではないか?」と毎回非難の対象となるコースがあるのも事実です。

 

*Utrechtse GC “De Pan”    Netherlands

 

時代の変化。

Tom Doak, Bill Coore & Ben Crenshawの黄金期到来。

 

Tom DoakのTOP100コース作品 8コース

(#=ランキング)

#20  Tara Iti.

#32  Pacific Dunes.

#36  Barnbougle Dunes.

#49  St. Patrick’s Links.

#51  Ballyneal.

#55  Cape Kidnappers.

#68  Lido Sand Valley.

#73  Rock Creek Cattle Company.

 

Bill Coore & Ben CrenshawのTOP100コース作品 7コース

#11  Sand Hills

#23  Friar’s Head.

#52  Cabot Cliffs.

#76  Point Hardy GC Cabot St. Lucia.

#85  Te Arai (South).

#90  Bandon Trails.

#95  Shanqin Bay.

 

Pete DyeのTOP100コース作品  3コース

#62  Kiawah Island (Ocean).

#75  Casa de Campo(Teeth of Dog).

#91  Whistling Straits (Straits)

 

以上のリストは2023−24年度世界TOP100コースから抜粋したものです。

2003年当時、Pete DyeとTom Fazioの作品が全体の15%を占めていました。しかし今はTom DoakとCoore & Crenshawの作品が15%を占め、数年前まで6コースをTOP100ランキングに入れていたPete Dyeの作品もThe Golf Club, TPC Sawgrass, Habour Townは消え、現在は僅か3コースのみになりました。Tom Fazioに至っては0です。

昨今、モダンクラシックコース時代になってコースへの見識は1920年代、世界中に名コースが誕生したゴルフコース黄金期と称えられるクラシックコース時代への回帰論が主流となりました。更に内陸地であっても豊かな砂地を露出するコースがトレンド入りしていましたが、前回のランキング論評でも指摘したようにそれらが戦略的に無意味であればかつて80年代に流行った池やクリークを攻略ルート上にやたら絡ませたトリッキーで戦略性に欠ける作品と同類と評価されたのか、それらのコースの評価はやや下降線を辿っています。

TOP100のリストで何と71%が戦前のリンクス、クラシック時代に開設された作品で、戦後に誕生したコースは29%に過ぎません。

Tom Doakの作品のどこが素晴らしいか? それは設計の妙味を示す18ホールのルーティング構成です。それにおける彼の発想は他に類を見ない彼の天才肌な感性を感じます。Bill Coore & Ben Crenshawの作品は全てに設計のエッセンスを感じさせてくれます。その中で用地の条件が優れた作品がこの7コースではないでしょうか。ゴルフコースにおいてこの設計のエッセンスが最も重要な要素を占めます。彼らの作品である海南島のShanqin Bay以外に1980年以降に誕生されたアジアの作品でこのエッセンスを持ちあわせている作品はあるでしょうか?彼らの作品ではCabot Cliffs, Point Hardy GC, Te Arai(South), Bandon Trailsが一般でもプレーできますので是非訪問し、日本のコースとの比較をされてみて下さい。

ちなみに次回のランキングでもTom Doakの新作であるTe Arai(North), Sedge Valley, Pinehurst #10が世界ランキング入りを果たす可能性を秘めています。

特に注目されるのはSand Valley Golf Resortの第4コースとなるSedge Valleyでトータルヤーデージは6,000に満たないトータルPAR68の作品で、スクラッチゴルファーとアベレージゴルファーが同じティから競えるショートPAR4やログPAR3のハーフパーホールの戦略性を強調した作品となっています。

かつてボギースコアだった時代に誕生した名門Swinley Forest GCなどクラシックコースのオリジナル性をテーマにしています。既に仮オープンを迎え大反響を呼んでいます。そのSedge Valleyは来春グランドオープンを迎えます。

もし貴方のゴルフコースがPGAツアーやJGAのトーナメントを望まないのであれば、このTom Doakのアイデアはコースをリノベーションする際、名コースに進化を与える一つのポイントとなるでしょう。ヤーデージを伸ばすだけが名コースへの道標ではありません。ゴルフコースに文化を持たせることです。

 

* Cabot St Lucia  Point Hardy GC  St.Lucia

 

 

Text by Masa Nishijima

Photo Credit by Larry Lambrecht, Cabot Group,Te Arai Links, Sand Valley Golf Resort, Planet Golf AUS, Frank Pont, Masa Nishijima