台風が接近しています。

稲木に掛けられた稲穂は脱穀を待つばかりとなっていましたが、この大雨で先延ばしになってしまいそうです。

強風で倒れないようにできるだけの対策をしておく必要があります。

あるだけの杭を打って、稲木の柱にロープで縛り、固定します。

稲木の頭と頭に長い竹を渡して、これもロープで縛り、固定します。

足元はドロドロ、体中、雨でべちょべちょですが、やるだけのことはやりました。

あとは、台風がそれてくれるのを祈るばかりです。

 

心配ばかりしていても仕方ないので、今回も詩人/ネイチャーガイドの大島健夫氏に田んぼの生き物について解説してもらいます。

ドジョウ

学名 Misgurnus anguillicaudatus 

田んぼの魚として誰もが知っているドジョウは、実は2018年、環境省のレッドリストに「NT(準絶滅危惧)」として記載されました。その理由について、同リストには、「本種は水田地帯を中心に生息範囲の減少が指摘され、また国外外来種との競合、同種内国外系統との交雑による攪乱が懸念されており、こうした要因の進行により将来的に絶滅危惧に移行する状況にあると判断される」と述べられています。日本国内のドジョウはもはや、「どこにでも普通にいる生き物」ではなくなりつつあるのです。

ドジョウといえば510本ものヒゲを連想される方が多いことでしょう。このヒゲにはなんと「味蕾」があります。つまり、ドジョウはヒゲで味を感じ取り、食べ物を探しているのです。また、エラ以外にも皮膚や腸でも呼吸できるので、体が湿っていれば陸地でもしばらく生きられるという、よく生態を見ると大変不思議な魚です。また、日本国内のドジョウは、遺伝的に異なる複数の集団を含んでいることが確実で、今後、いくつかの種に分割される可能性もあります。ドジョウは身近な謎の魚なのです。

 

セグロセキレイ

 学名 Motacilla grandis

長い尾に黒と白のコントラストがよく目立つセグロセキレイは、生涯を通じて水辺から遠く離れることなく暮らす鳥です。よく似たハクセキレイが市街地でも見られるのに対し、こちらは基本的には川や湖や田んぼの近くでしか見ることができません。水の中にいる虫などをつついて食べている姿をよく目にしますが、時には相当大きな虫を食べていることもあり、ビックリさせられます。上下に揺れながら、落ちそうで落ちないような独特の軌跡を描く飛び方もちょっぴりかわいいものです。

ハクセキレイが世界中に分布している鳥であるのに比べ、このセグロセキレイは、日本列島とその近くにしか生息していない鳥です。海外から来日するバードウォッチングの愛好者には、なかなか人気のある鳥でもあるのです。

 

台風が過ぎ去るまで、川底のドジョウのようにおとなしく待っていることにしましょう!