No.28 PAR3の設計セオリー Part 1
PAR3のトータルヤーデージを考えてみよう。
用具の進化から飛距離が伸びる昨今、パー3のヤーデージを伸ばすコースも多くなりました。それらはダウンヒルやアップヒルなど地形の条件によって様々ですが、PGAツアー開催コースはもちろん、メジャー大会でもその傾向にあるようです。日本でもタフに設定したいが為に、4つのパー3のうち、3ホールは200ヤード前後又はそれを超えるようなコースも登場しています。しかしこれらの傾向は1ショットホールというパー3の本質を正しく捉えているとは言い難いものです。ゴルフコースを評価する場合、バー3, 4, 5それぞれのコレクション査定という項目があります。例えばコレクションパー3ならば、パー3ホールすべての評価をアベレージで表すものです。仮にパー3が4ホールあるならば、そのトータルヤーデージに注目してみると良いでしょう。下記の表は、米国の名コースにあるトーナメント時のホールヤーデージとそのトータルです。
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Augusta National 12
マスターズ時のオーガスタナショナルは、240, 180, 155, 170でトータル745ヤードで、パー3でもショート、ミドル、ロングを設定した見事なヤーデージバランスを整えています。
ペブルビーチ、TPCソーグラスも同様でしょう。ペブルビーチの7番は僅か106ヤードの距離でありながら風の計算をひとつ間違えればボギー以上を覚悟しなければならないホールです。TPCソーグラスの17番アイランドグリーンも137ヤードの距離ながら大会中に何人のプレーヤーが池にボールを打ち込んだことでしょうか。
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Pebble Beach #7
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TPC Sawgrass #17
当然これらのパー3は印象度が高いものになるでしょう。オークモントでの全米オープンでは8番パー3が288ヤードの距離で話題を呼びました。パー3のトータルヤーデージはなんと896ヤードでした。しかしながら一般のバックティからは757ヤードであり、オープン時との差は140ヤードです。これらを考えてみるとパー3のトータルヤーデージは700前後、長くとも750前後が1ショットホールとして最もプレーヤービリティ高い、距離にもバライティを持たせられる設計にあると理解できるはずです。
PAR 3 4ホールの合計バックティ-トーナメントティ ( ) ホール番号 トータルヤーデージ
オーガスタナショナル
170-240(4), 165-180(6),145-155(12), 145-170(16) =625-745
シネコックヒルズ
193-221(2), 173-184(7), 150-158(11), 149-169(17) =665-732
TPCソーグラス
160-177(3), 193-237(8), 156-181(13), 128-137(17)=637-732
パインヴァレー
181-198(3), 219-235(5), 142-161(10), 187-220(14) =729-814
東京クラシック
209-232(5),184-209(7), 185-218(12), 154-188(14)=732-847
オークモント
168-194(6), 225-288(8), 153-183(13), 211-231(16)=757-896
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Oakmont #6
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Oakmont #8
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Oakmont #13
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Oakmont#16
ペブルビーチ
142-192(5), 98-106(7),187- 201(12), 170-177(17) =597-676
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Pebble Beach 5
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Pebble Beach 7
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Pebble Beach 12
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Pebble Beach 16
注 1ショットホールとは一打でグリーンを狙えるホールのこと。
ドライバブルPAR 4(ワンオン可能なショートパー4)も含む。
Text by Masa Nishijima
Photo by Larry Lambrecht.