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すっかりDonkeyに詳しくなったところで、本題に戻り馬。

進化の過程で道を分けた馬ですが、Donkeyをみても分かる通り、共通項も多く、個体差を考えれば、その分類には曖昧な点も数多くの残っています。

その中で、人と「特別な絆」を育んできた馬たちは、人の手によって飼養され、交配されるようになり、其々の品種や血統を形作るようになりました。

そして、今では「野生の馬はほとんどいない」と考えられ、「野生馬」と称される馬の多くは、人の手を離れ再野生化した馬、野生的な環境(半野生)で生息する馬を指しています。

これに対して、現在、世界中で登録・管理されている馬の品種や血統は優に300を超え、優勝劣敗を原則に、土地の風土に適合し、人々の期待に応え、長い歴史と文化を培ってきたのです。

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数ある品種、血統の中から、馬を語るにあたり選んだのは、もちろんクォーターホース(Quarter Horse)。現在、東京クラシックで飼養される馬の多くが、このアメリカ生まれの駿足自慢だと伺っています。

ところで、クォーターホースとは、一体何がクォーター=4分の1なのかと不思議に思われたことはありませんか。

実は彼らの駿足こそが、その名の由来なのです。クォーターマイル(約1,600mの4分の1=約400m)を最も速く走ることができる馬、それがクォーターホースというのです。

では、サラブレッドより速いのか。

と、新たな疑問が湧きますが、クォーターマイルであれば、サラブレッドに負けず劣らず。実際にアメリカではクォーターホースの競馬も盛んに行われてきました。

 

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彼らの起源を辿ると、約500年前。コンキスタドールたちが、イベリアやアラブの馬たちと共にフロリダに上陸したのが始まりだと考えられています。それ以前のアメリカ大陸には馬はいなかったとも言われ、少なくとも馬を慣らし、乗りこなす技術については、ヨーロッパ人の方が圧倒的に優れていたのです。

その後、先住民たちも彼らに倣い、馬を生活に取り入れるようになりますが、それも束の間。本格的な植民地時代の訪れと共に、土地も財産も、そして馬までも入植者たちの手に渡りました。

そんな中、馬の品種改良に積極的に取り組んだのがイギリスからの入植者たちでした。彼らは長年に渡り心血を注いできたサラブレッドとの交配を繰り返します。本来の温厚な性格とタフな肉体にスピードを掛け合わせることで、最速の短距離馬を作り上げたのです。

今では全世界での登録頭数が400万頭以上とも言われ、世界で最もポピュラーな品種へと発展を遂げました。

牧畜等の作業パートナーの他、競馬や国際馬術連盟が定める公式競技の一つであるレイニングをはじめとしたウエスタンスタイルの競技でも活躍し、アスリートホースとしても高い人気を誇っています。

さらに、賢明で穏やかな性格とサラブレッドより一回り小柄な体型は、老若男女を問わずあらゆる馬愛好家を受け入れ、文化や教育の分野に加え、動物介在療法など医療の分野からも注目を集め、ますますその活躍の場を広げているのが、クォーターホースなのです。

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MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。