2021年9月5日。
Tokyo 2020の全日程が終了しました。
「無事に」とは言えない大会でしたが、酷暑やコロナ禍の厳しい状況の中、人間だけでなく、馬たちも最後まで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

オリンピック・馬術競技の結果はというと、

金メダルの数では、ドイツが3個で単独トップ!

メダルの総数では、イギリスが全18個中5個を獲得し、最多となりました。

1964年の東京オリンピックでも、圧倒的な強さをみせたドイツは、半世紀以上経った今も健在。特にドレッサージュでは馬術大国の真骨頂を見せ、チームは金メダル、個人でも金、銀メダルのワンツーフィニッシュ。安定した技術力と層の厚さを見せつけました。

もう一つ、”時の流れ”を象徴したのが、女性ライダーの台頭。

馬術競技の全ての種目において、性別による出場制限が無くなった記念すべき東京オリンピックから56年を経て、表彰台に上がった女性ライダーの数は、40%以上を占めるまでになりました。

けれども、時はさらに先を進み、多様性が求められる時代。

馬術競技ではありませんが、今大会ではトランスジェンダー選手の出場が話題にもなりました。

その点、馬術競技では馬にもライダーにも性差を問いません。

また、かつてはドイツチームにはドイツの馬を!フランスチームにはフランスの馬を!と、国家の威信をかけた勝負が行われていましたが、今は能力に優れた馬を血統化し、国境を越えて活躍するようになりました。

一見すると、古めかしい馬術競技ですが、多様性については他のスポーツをリードしているかもしれません。

勝負以外で個人的に興味深かったのは、ユニークな障害物。

日本各地の名所や伝統文化などをモチーフに作られた障害物には、馬たちも興味津々。少しでも馬たちに慣れさせようと馴致を繰り返すも、Rikishi(力士)の迫力に圧倒されたり、Daruma(だるま)の睨みに怯んだりする馬たちには、ライダーも苦笑い。

趣向を凝らした「日本らしさ」は、世界でも話題になりました。

そんな中、どうしても気にかかったのがシンプルな丸をモチーフにした障害物。

なんなんだ!と思い、解説書を紐解けば、まさかの「円相」。

その中には、書画の一つとして、禅の世界が紹介されていたのですが、見る者の心を写し、その解釈は見る者次第・・・などと問われれば、思わずその前で立ち止まってしまいそうです。

とはいえ、人間の煩悩を遥かに越えて、馬たちは一切の躊躇なく飛び越えて行きました。

世界的なコロナパンデミックにより1年延期の末に実施されたオリンピックは、その根本的な意義を問われる厳しい大会となりましたが、それでも、過酷状況下で勝負に挑んだ人馬には、心から敬意を表します。

そして、彼らにとってTokyo2020が、少なからず良き思い出となりますように。