GOLF Magazine

全米TOP100ゴルフコース発表!

* 世界ナンバー1コース、Pine Valley GC        Photo by Larry Lambrecht.

 

US GOLF Magazine誌(GOLF.com)が2020/21年度全米TOP100コースを発表致しました。2018年新オーナーのもと、それまで世界及び全米のコースランキングを同時発表していたものを奇数年に世界、偶数年は全米と分け、より専門的に解説、紹介するようになりました。一年の歳月はコース評価に変化を齎します。それは世界TOP100コースのランキングに入っていた50の米国のコースのランキングはそのまま今回のランキングに反映されているかといえば必ずしもそうではなく、例えば、Oak Hill GCのように素晴らしい改修工事で評価を一気に全米40位に上げたコースもあれば、コロナ禍の中で大学が閉鎖、リモート授業となった名門Yale大は、世界TOP100に君臨していた附属コースも部活動停止のため閉鎖、コース管理も郡の規定により2名のみしかコースに出入りできなかった事などから投票が締め切られた8月の段階ではほぼ壊滅状態に至り、その為、今回のTOP100からは落選してしまいました。それでもこのコースは改修がしっかりと行われば、全米100はもちろん世界TOP100に舞い戻ってくる事でしょう。

それではTOP10コースから紹介していきましょう。尚、コース名の頭に*印が付いているはランキングに初登場したゴルフコースです。

                    

 

* New Comers(新しくランクアップされたコース)

TOP10コース

 コース名    州

1.Pine Valley   NJ

2.Cypress Point   CA

3.Shinnecock Hills   NY

4.National Golf Links of America   NY

5.Oakmont   PA

6.Augusta National   GA

7.Sand Hills   NE

8.Merion (East)   PA

9.Fishers Island   NY

10.Pebble Beach   CA

 

  2017年度まで全米のTOP3はPine Valley, Cypress Point, Augustna Nationalのワン、ツー、スリーでしたが、全米オープンでのリノベーションが高評価だったShinnecock HillsとOakmontがそれぞれ3位, 5位に上昇し、6位に落ちたAugusta Nationalを上回っています。Augusta Nationalのランクダウンはマスターズトーナメントの為に樹木を伐採せず、本来コースが見せるべきホールのスケールを狭くし、オリジナルのランドスケープを活かしていないとの意見もありました。それは確かに正論です。しかし用具の進化、飛距離が急激に伸びた今日において、タイガーが初制覇した1997年から今年までトータルヤーデージが550ヤード伸び、高低差55mのその地形にレイアウトされたコースは、オリジナル設計者マッケンジーがアンフェアになるとフェアウェイバンカーを数多く点在させなかった理論からも、マスターズでは樹木によってターゲットラインを絞り込ませるアイデアしかなかったのでしょう。300ヤードドライブの時代はホールの視界をワイドに戦略性を多角化させる狙いから左右の樹木をより多く伐採するコースが増えているのは事実です。古い名門などはそれを「オリジナルに帰ろう」をテーマにして実施しているところも少なくありません。

*夏季のAugusta National #18, #9グリーン  ライグラスをオーバーシード中の映像。

 

しかしそれをAugusta Nationalに求めるのははたして正解でしょうか。

マッケンジーのAugustaの地における設計コンセプトは「The Spilit of St.Andrews」、

聖地オールドコースの哲学を高低差55mの地形に取り入れることでした。

彼のグリーン設計の特徴は盛り土して高くする当時の風潮とは異なり、フェアウェイと同じグランドレベルの高さの中にグリーンを配置し、バンカーで掘った土を壁に活用しその高さからのスロープをグリーン面に流しこむ作業でした。

これによって視界からはグリーンが地面と同じ高さにあるにも関わらず、グリーンコンプレックス全体が砲台状に写ります。

*Pasatiempo  CA

 

マッケンジーは更にこのオーガスタの地の特徴を活用します。それはあえて傾斜のある箇所にグリーンを配置し、スローピンググリーンを作り出し、下りのパッティングの転がりにスリル感を持たすアイデアでした。

マッケンジーはオールドコースのパッティングを米国の地で造成してみたかった、しかしリンクスの固い土壌は人間の手では作り出せず、ならば地形のスロープを活用するしかないと考えたのでしょう。開設当時の芝の刈り高は技術的に10mm(現在は通常で3.3mm~3.7mm)が限界、芝が改良されてファストグリーンが開発された60年代以降とは異なり、まだパットイズマネーの時代ではなかったのです。改造を繰り返してきたAugusta Nationalですが、今でもその痕跡を#4,#5, #8,#14番などに見ることが出来ます。これらのグリーンはピンポジションによっては下りのラインの方が読みやすいケースもあります。

 

 

*Sitwell GC UK  マッケンジーが坂の上にグランドレベルに造成したスローピンググリーン。

 

Augusta Nationalを戦略性あるコースと述べる方も多くいらっしゃいますが、仮に樹木を伐採し攻略ルートをいくつも提供するならば、あの複雑な傾斜と起伏を持つグリーンへの攻略ルートは直接ピンを狙えず、グリーンコンプレックスのどこかにレイアップせざるを得ないケースも生まれ、むしろペナル性の強いコースに変化するでしょう。従ってマスターズ委員会が選択している樹木におけるコースセッティングはAugusta Nationalの特徴を活かすためには重要とも言えるのです。

 

昨今日本でも無闇やたらに樹木を伐採し、ホールを広く見せるリノベーションが流行っているようですが、大事なのはランドスケープを台無しにしていないか、表現は悪いですがチープな発想の設計をむしろさらけ出してしまっているコースも時に拝見します。

樹木の伐採はその意味がなければなりません。ホールレイアウト、ルーティング、ランドスケープが三位一体となって初めて名コースは誕生します。温暖化が進む今日、条件を問わず伐採すれば良いというものではありません。

*ランキング4位につけるNational Golf Links of America  NY.

 

 

TOP11-25

   コース名    州

11.Pinehurst #2   NC

12.Los Angeles(North)   CA

13.Friar’s Head   NY

14.Chicago   IL

15.Winged Foot(West)   NY

16.Crystal Downs   MI

17.Riviera   CA

18.Prairie Dunes   KS

19.Pacific Dunes   OR

20.Seminole   FL

21.San Francisco   CA

22.The Country Club Brookline   MA

23.Somerset Hills   NJ

24.Shoreacres   IL

25.Garden City   NY

 

 

TOP25までのクラスで戦後に誕生したコースは#7位のSand Hills #13位のFriar’s Headと#19位のPacific Dunesの3コースのみで、戦前からのクラシックコースの壁はモダンコースにとって高い城壁かのようです。93年にSand Hillsが誕生した時、その話題は高額な造成コストが必要とされるUSGA方式の3層の床を持つグリーンから、クラシック時代と同じように良質な砂を固めて造成したPushed Up方式のグリーンに時代をフィードバックした事でした。

これらの手法は砂質豊かな土地が絶対条件となりますが、ここでコースによってはフェアウェイからグリーンまで本場のリンクス同様に全てFescue芝で賄うコースも誕生してきます。95年これらのコースを私はゴルフマガジン誌にてモダンクラシックコースと名称付け、モダンコース時代の作品との区別化を図りました。

当時のキャッチフレーズはGOLF “Promised Land”(約束の地)です。

ここに登場する3コースはそのモダンクラシックコースの代表的作品となります。

日本では昨今クラシック風の作風に仕上げられた作品やリノベーションされたコースをモダンクラシックコースと紹介しているクラブもありますが、そのコースがUSGA方式のグリーン構造体でないこと、またはクラシック設計の定義となったテンプレートホールの攻略性を兼ね備えているかどうか、この2点が整っていなければモダンクラシックとは呼べません。

* Pacific Dunes OR   Photo by Larry Lambrech  全面フェスキューでグリーンにのみコロニアルベントとポアナが混合されている。 

 

 

TOP26-50

   コース名    州

26.Camargo   OH

27.California Club of SFO   CA

28.Southern Hills   OK

29.Maidstone   NY

30.Bethpage(Black)   NY

31.Kiawah Island(Ocean)   SC

32.*Ohoopee Match Club   GA

33.Inverness   OH

34.Ballyneal   CO

35.Oakland Hills (South)   MI

36.Sleepy Hollow   NY

37.Peachtree   GA

38.Bandon Trails   OR

39.Quaker Ridge   NY

40.Oak Hill(East)   NY

41.Old Town   NC

42.The Golf Club   OH

43.Myopia Hunt Club   MA

44.Bandon Dunes   OR

45.TPC Sawgrass(Stadium)   FL

46.Winged Foot(East)   NY

47.Yeamans Hall   SC

48.Rock Creek Cattle Company   MT

49.Whistling Straits(Straits)   WI

50.Wade Hampton   NC

 

*マッサチューセッツの名門Myopia Hunt Club ハンティングクラブとポロクラブを併用する。

 

Top26-50までのランキングでは、戦後に誕生したモダンコース以降の作品が10コースもランクアッブされています。ピート・ダイのKiawah Ocean, The Golf Club, TPC

Sawgrass, Whistling Straitsと彼の米国での代表作がここで登場してきます。

日本でピート・ダイはファストグリーンの開発が進むモダンコース時代に英国回帰論を唱えた設計家、TPC Sawgrassの17番パー3のアイランドグリーン(グリーンの大きさは僅か475平米)を発案した設計家として鬼才とも評されました。しかしそれは大変な誤りであり、ピート・ダイの設計哲学を正しく伝えるものではありませんでした。

ダイはアマチュアゴルファーとして活動されていた頃、本場英国でリンクスのテイストを学びました。20世紀初頭米国ゴルフ界の父と称えられたC.B.マクドナルドが後世に残した「リンクスの名ホールにおけるその攻略理論の愉しみ」、それは彼の著書からスコットランドギフトとして紹介され、クラシック設計の定義とした彼のテンプレートホールとして伝えられました。ダイはそれを忠実に守り、マクドナルドの理論を現代のゴルフ技術にマッチさせた設計家なのです。そしてマクドナルドの理論を更にわかり易くする為に、彼の造成パートナーだったセス・レイノーは幾何学的デザインに改良しましたが、ダイはそれも手本としました。つまり日本で大騒ぎされたピート・ダイの奇抜とも言われた作風の原型は1920年代にはすでに存在していたのです。

あのアイランドグリーンも1923年The Creek でC.B.マクドナルドは発表しています。

1990年代、ダイと共にコース設計界をリードしたリース・ジョーンズ、トム・ファジオの作品がコースランキングから姿を消していく中、ピート・ダイの作品だけは称賛され続けている最大の理由はクラシック設計の定義を継承してきたからに他なりません。

ピートに続き、トム・ドォークのBallyneal, Rock Creek Cattle Companyがここでランクアップされています。Ballynealはティーインググランドのあり方など、現代のゴルフの楽しみ方にスコットランドリンクスの歴史感をテーマに投げかけた作品です。プライベートクラブですが決して仕切りが高いクラブではなく、訪問したい理由とHC証明の申請をすれば迎え入れてくれるはずです。ドォークの作品は19位のPacific Dunesを加え、TOP50の中に3コースもランクアップされています。これは現役の設計家ではクーア& クレンショーのコンビと並んでトップの評価にあります。

若かりし頃、トム・ドォークの造成パートナーだったギル・ハンスの新作Ohoopee Match Clubが32位にランクアップされましたが、この作品は前年の世界ランキングでも堂々の98位に初登場していました。

ここで面白いのはBandon Dunes Golf Resortの第一コース、ディビット・M・キッドのBandon Dunesとクーア&クレンショー作の第三コース、Bandon Trailのランキングが今回の全米ランキングでは逆転していることです。コースのスケールは海岸線に面した第一コースの方がはるかに上ですが、設計の妙味という点では第三コースの方が上ではなかろうか?とRaterたち(評議委員)からは評価されていました。

*The Creek のPAR3 “Biarritz” はご覧のようにアイランドグリーンである。

* Sleepy Hollow CC  NY     手前Punchbowl, 奥 Shortのテンプレートホール

 

 

 

TOP51-75

   コース名    州

51.Muirfield Village   OH

52.Old Sandwich   MA

53.Eastward Ho!   MA

54.Olympic (Lake)   CA

55.Valley Club of Montecito   CA

56.Piping Rock   NY

57.Plainfield   NY

58.Kittansett   MA

59.Pasatiempo   CA

60.*Pikewood National   WV

61.*Gamble Sands   WA

62.The Creek   NY

63.Honors Course   TN

64.Essex County   MA

65.Maraine   OH

66.Old Macdonald   OR

67.Monterey Peninsula (Shore)   CA

68.Bel Air   CA

69.Baltusrol (Lower)   NJ

70.Gozzer Ranch   ID

71.Milwaukee   WI

72.*Congaree   SC

73.Harbour Town   SC

74.Ridgewood (W/E)   NJ

75.Baltimore ( Five Farms East)   MD

 

 

このクラスで注目したいのは60位にウェストバージニアのPikewood Nationalが初登場したことです。オーナーで鉱山会社の役員をしていたジョン・レイズとロバート・グウィンの二人が地元で所得した丘陵地帯にツアープロたちのアドバイズをベースに10年近くかけて完成させたコースです。

3年前にコース設計のプロではないゴルフ好きな素人二人の夢の作品とフォーブス誌でも取り上げられました。

ウェストバージニアで最もタフなコースとして、全長7,649ヤード、スロープレイティングは155, USGAコースレイティングは78.9, そしてボーギーレイティングも109と高い。レギュラーティでさえ7,000ヤードもあります。けしてタフだから評価が高いというのではなく、このコースの素晴らしいところは自然の地形を無闇に壊さず、自然のランドスケープを作り出している点。そしてそれは18ホールのユニークなルーティングに繋がりそれが高い評価を得たのです。素人だから出来た業かも知れない。

日本にはビジネス上からか、トータルヤーデージを意味もなく伸ばし、コースレイティングを上げているゴルフクラブが幾つかありますが、設計的にそれが正しくなければ、どこかの国のコースのようにアジアの恥と批評を受ける事もあるでしょう。

例えばテンプレートホールの一つ、レダン(Redan)ホールは、1世紀近く175~195ヤードのパー3として存在し、現在のPGAツアーでも最長で230ヤード弱で十分対抗できるグリーンの形状と配置角度です。それを250ヤード以上のレングスにしてレダンの戦略的効果、攻略ルートは生まれるでしょうか? どれだけ用具が進化してもクラシック設計の定義には絶対に侵してはいけない領域「リンクスの掟」が存在し、それを超えれば駄作と化してしまうでしょう。

 

*Pikewood National  WV      Photo by Pikewood National GC

 

 

61位には同じく新顔でGamble Sandsが登場しました。Bandon Dunesで一躍一流コース設計家の仲間入りを果たしたディビット・M・キッドの作品で、彼はここでもティからフェアウェイ、グリーンへと全面フェスキュー芝のコースに挑戦し、それが高い評価に繋がりました。スロープを活かしたあらゆるテキサスウェッジが楽しめるコースです。

*Gamble Sands                  photo by Gamble Sands Resort

 

 

ニクラウスファンにとって残念なのは、彼がミュアヘッドと組んで設計したMuirfield Villageが51位にランクダウンした事です。原因の一つはメモリアルトーナメントの為のコース改造がその用地の器を超えてしまったからではないかと考えられます。

前回の世界TOP100コースランキングでは米国のコースが50しか入っていなかった事を考えると、来年の世界TOP100では滑り落ちる危険もあります。かつては世界TOP50位内に常に君臨していた大作です。他にもあります。全米オープンが幾度も開催されたSFOのOlympic Club Lake Courseです。何と54位にまで落ちています。それは世界TOP100から滑り落ちる危険性を示したランキングです。前回の全米オープンの為の改修で、距離をやたら伸ばす為に必要としない樹木の伐採、管理道路の新設等、コース管理と運営に実権を持つベテランのSuperintendentとクラブ役員数名の判断で行われた事から、呆れたクラブメンバーの数名は脱会し、他のクラブに移ったとの噂も聞きます。

 

 

 

TOP76-100

   コース名    州

76.*White Bear Yacht Club   MN

77.Streamsong (Red)   FL

78.*St.Louis   MO

79.*Kingsley   MI

80.*Sheep Ranch   OR

81.Shadow Creek   NV

82.*Prairie Club (Dunes)   NE

83.*Hollywood   NJ

84.Newport   RI

85.Monterey Peninsula (Dunes)   CA

86.*Glens Falls   NY

T87.*Lawsonia (Links)    WI

T87. *Wolf Point    TX

89.Aronimink   PA

90.*Mountain Ridge   NJ

91.Sand Valley (Sand Valley)   WI

92.*Pinehurst #4   NC

93.*Palmetto   SC

T94. Nanea     HI

T94. Streamsong (Blue)    FL

96.*Sand Valley (Mammoth Dunes)   WI

97.Sebonack   NY

98.Calusa Pines   FL

99.Baltusrol (Upper)   NJ

100.Cherry Hills   CO

 

 

このクラスでは13の新顔が登場しました。そのどれもが注目に値します。

ミネソタのWhite Bear Yacht Clubはホワイトベアー湖のほとりに1889年にセーリングクラブとして発足し、1912年ウィリー・ワトソンによって9ホールコースが造られ、3年後の1915年に名匠ドナルド・ロスによって18ホールに拡張されました。しかしながらこのクラブにロスが長く滞在した痕跡はなく、多忙だったロスは図面だけを描いて後は現場スタッフに一任したとの噂もあります。その後、ウィリー・ワトソンが再度造成に関わったのかわかりませんが、マッケンジーのパートナーで彼の亡き後、オハイオ州立大コースやクリスタルダウンズなどの造成を仕上げたペリー・マックスウェルが関わったとされるグリーンが数カ所に見られ、さらにピート・ダイは幾つかのレイアウトの改修にアドバイズを送りました。その後、トム・ドォークがオリジナル図面とペリー・マックスウェルのグリーンをレストレーションし、一躍話題となった作品です。

* White Bear Yacht Club           Photo by White Bear Yacht Club

 

 

St. Louis CCはPoloクラブとしてスタートし、1914年にC.Bマクドナルド/レイノーのチームによって18ホールが設計されました。昨今クラシック設計の定義となるテンプレートホールが注目を浴びることからこのコースの評価も大きく変わったようです。

*St.Louis CC

 

Bandon Dunes Resort 5番目の18ホールコース、Sheep Ranchは実は2001年にジム・ウルビーナとトム・ドォークによって名門プレストウィクGCのオリジナル12ホールの再現をテーマに造られ、オーナーとファンダーメンバーたち19名のプライベートなシークレットコースとして存在していました。

バンカーは羊をわざわざ放牧させ造らせたほどのヒストリカル路線の作品でしたが、これを一般開放する為に一部のレイアウトは保持したまま大改造に踏み切りました。

担当はクーア&クレンショーが一任し、全面フェスキュー芝のモダンリンクスに仕上げました。

コロナ禍の中でグランドオープニングを迎えただけに次回は訪問者も増える事から間違いなくランキングを上げるでしょう。 Bandon Dunesはパブリックですから是非皆様たちにも訪問して頂きたい。

* Bandon Dunes Sheep Ranch Course   Phto By Bandon Dunes Golf Resort

 

* Walter Travis (1862-1927)

 

オーストラリアに生まれ、後に結婚を機に米国に帰化したウォルター・トラビス(Walter Travis 1862-1927)は、アマチュアゴルファーとして活躍し、当時14歳だったボビー・ジョーンズにパッティングの理論と技術を伝授した事でも知られています。ゴルフジャーナリストの先駆者でもあった彼はアメリカンゴルファー誌を立ち上げ、現在のハンディキャプの原点となるものを考案した人物でもあります。そしてゴルフコースに関しての見識ある論説からコース設計家としても注目されるようになりました。そんな彼の古き作品が復元、リノベーションによって注目されています。ニュージャージーの古き名門ホリウッドGCはトム・ドォークの造成パートナーであるブライアン・シュナイダーの手腕によってトラビスのバンカリングが見事にリノベーションされ、コースは大変貌を遂げ、今回見事TOP100入りを果たしました。

今後はリノベーションをされていくトラビスの作品にも注目されて下さい。

 

* Hollywood GC  NJ      Photo by GOLF.com

 

 

Bandon Dunesの開発者であるマイク・カイザーが米国内で打ち出した第二弾のゴルフリゾートプロジェクトはウィスコンシンのSand Valley Golf Resortでした。

設計はクーア&クレンショーのコンビで2017年にグランドオープニングを迎え、その年のランキングでは全米52位にランクアップされました。しかし今回は何と91位にランクダウンしています。昨年オープンした第二コース、Mammoth Dunesコースはディビット・M・キッドの作品で造成中から話題となっていましたが、今回初めてのランキング評価では96位と意外に低い結果に終わっています。

その原因は何でしょうか? 検証してみたいと思います。

 

* Sand Valley Mammoth Dunes      Photo by Sand Valley Golf Resort Evan Schiller

 

 

開発へのコストダウンが図れるモダンクラシック設計がブームを呼ぶようになり、土地の条件に問わず誰もが自然のスロープの流れの中にバンカーを造成するなどその作風が似てくる時代になりました。かつてモダンコース時代ではバンカーの造形一つでその作品が誰の設計であるのか一目でわかるものでした。しかし今その判断は難しく、あのニクラウスチームの作品とてDismal Riverでは全く別人の作風にバンカーを仕上げているくらいです。

それらの作品の最大の特徴は砂質豊かな土地の素材を露出し、自然のランドスケープを造り出そうと図っている点です。

* Dismal River White Course   Nicklaus Design

 

この風潮はクーア&クレンショーがPinehurst #2コースをドナルド・ロスのオリジナルに戻した辺りから始まりました。彼らは当時の図面と写真から松林の中、砂地が露出しているオリジナルの姿の復元に成功をしました。

しかし砂地を露出する作風がブームになるとそれをより強調しようとする作品が登場してきます。例えばギル・ハンスのStreamsong Black Courseはゴージャスな土地を与えられ、その中で彼は見事なほどユニークなルーティングにDual Greensホール(2グリーンホール)などの演出設計もしました。しかし彼はここで大きなミスをします。砂質を露出し過ぎるがあまり、数ホールがレイアップでフェアウェイキープを余儀なくされる結果となったのです。つまりフェアウェイやグリーンコンプレックスの周り囲む砂地を池に置き換えるならば、それは1980年代に流行った攻略ルートが一本しかないターゲットコースと何ら変わらないことになります。それらはすべて評価の低いペナルホールです。砂地であるだけにリカバリーは効くがそこはペナル地帯と何ら変わりません。

Black Courseは開設したばかりの頃はそれなりの評価を得ましたが、今では全米のTOP150位にもランクされていません

* Streamsong Black Course   Photo by Streamsong Resort

 

リンクスでもない土地条件でありながら、コースにスケールと多角的攻略ルートを造り出そうとするがあまり、無闇やたらに樹木を伐採する作品が目立って多くなってきました。そして樹木を伐採した跡地は自然の雰囲気を醸し出す砂地のヴェストエリア地帯(Waste Area)になっていくわけです。砂質豊かな土地であるならばまだしも、そうではない土地にそれを設けるならば1980年代に流行った人工美のヴェストエリアと池のコラボレーションと化してしまいます。

クラシック時代の名門コース、例えばOakmontやWinged Footなどが全米オープンに備え、樹木を何千本も伐採したとは言え、その跡地を池や砂を露出したヴェストエリアにしているでしょうか? 植栽した樹木によって隠されていた土地を戻し、以前持っていたスケール、多角的攻略ルートの復元をテーマにしているだけです。クラシック時代の作品の樹木伐採は意味が全く違うのです。

Sand Valleyについての検証結果は以上述べたことが幾つか繋がります。

 

それではここで全米を地域別に分けたコースランキングを紹介しましょう。

*印が付いているコースは全米TOP100コースです。

x印が付いているコースはかつて全米TOP100にランクされた経歴を持つコースです。

 

Best in Region (地域別ランキング)

*TOP 100 COURSES IN THE U.S.

 

West (西部地)

1 Cypress Point*

2 Pebble Beach*

3 Los Angeles (North)*

4 Riviera*

5 Pacific Dunes*

6 San Francisco*

7 California Clubof San Francisco*

8 Ballyneal*

9 Bandon Trails*

10 Bandon Dunes*

11 Rock Creek CattleCompany*

12 Olympic (Lake)*

13 Valley Club of Montecito*

14 Pasatiempo*

15 Gamble Sands*

16 Old Macdonald*

17 Monterey Peninsula(Shore)*

18 Bel-Air*

19 Gozzer Ranch*

20 Sheep Ranch*

21 Shadow Creek*

22 Monterey Peninsula(Dunes)*

23 Nanea*

24 Cherry Hills*

25 Spyglass Hill  x

26 Sand Hollow 

27 Colorado   x

28 Wilderness Club 

29 Chambers Bay  x

30 Meadow Club 

31 Kapalua (Plantation)  x

32 Forest Highlands (Canyon)  x

33 Desert Forest  x

34 Clear Creek 

35 Stone Eagle 

36 Rustic Canyon 

37 Wilshire 

38 Madison Club 

39 Castle Pines  x

40 Estancia  x

41 We-Ko-Pa (Saguaro)

42 Eugene 

43 Waverley 

44 Torrey Pines (South)  x

45 Martis Camp Club

46 Victory Ranch 

47 Scottsdale National (The Other Course)

48 Broadmoor (West)

49 Black Mesa

50 Crosswater 

 

 

Heartland (中部地区)

1 Sand Hills*

2 Chicago*

3 Crystal Downs*

4 Prairie Dunes*

5 Shoreacres*

6 Camargo*

7 Southern Hills*

8 Inverness*

9 Oakland Hills (South)*

10 The Golf Club*

11 Whistling Straits (Straits)*

12 Muirfield Village*

13 Moraine*

14 Milwaukee*

15 White Bear Yacht Club*

16 St. Louis*

17 Kingsley*

18 Prairie Club (Dunes)*

19 Lawsonia (Links)*

20 Wolf Point*

21 Sand Valley (Sand Valley)*

22 Sand Valley(Mammoth Dunes)*

23 Interlachen  x

24 Scioto  x

25 Dismal River (Red)

26 Cedar Rapids

27 Davenport

28 Erin Hills  x

29 Beverly  x

30 Kirtland  x

31 Olympia Fields (North) x

32 Forest Dunes (Loop-Red/ Black)

33 Whispering Pines

34 Omaha 

35 Crooked Stick  x

36 Medinah (No. 3)  x

37 Blackwolf Run (River)

38 Old Elm 

39 Colonial  x

40 Meadowbrook

41 Trinity Forest

42 Harvester 

43 Northland

44 Canterbury  x

45 Orchard Lake

46 The Country Club  x

47 Victoria National  x

48 Brookside 

49 Sutton Bay  x

50 Hazeltine National  x

 

 

Southeast (東部)

1 Augusta National*

2 Pinehurst (No. 2)*

3 Seminole*

4 Kiawah Island (OceanCourse)*

5 Ohoopee Match Club*

6 Peachtree*

7 Old Town*

8 TPC Sawgrass (PlayersStadium)*

9 Yeamans Hall*

10 Wade Hampton*

11 Honors Course*

12 Congaree*

13 Harbour Town*

14 Streamsong (Red)*

15 Pinehurst (No. 4)*

16 Palmetto*

17 Streamsong (Blue)*

18 Calusa Pines*

19 Shoal Creek  x

20 McArthur 

21 Tobacco Road  x

22 Mountain Lake  x

23 Roaring Gap

24 Quail Hollow 

25 Long Cove  x

26 Streamsong (Black)  x

27 Charlotte 

28 Holston Hills  x

29 Olde Farm 

30 Cascades  x

31 Mid Pines  x

32 East Lake  x

33 GC of Tennessee

34 Capital City (Crabapple)

35 Grove Park 

36 Jupiter Hills (Hills)  x

37 Dormie Club 

38 Indian Creek  x

39 Mossy Oak 

40 Pine Needles  x

41 CC of Charleston  x

42 Chechessee Creek 

43 Sage Valley  x

44 May River (Palmetto Bluff)

45 The Blessings

46 Kinloch  x

47 Ocean Forest  x

48 Sea Island (Seaside) x

49 Diamond Creek 

50 World Woods (PineBarrens)  x

 

 

Northeast (北東部)

1 Pine Valley*

2 Shinnecock Hills*

3.National Golf Links of America*

4 Oakmont*

5 Merion*

6 Fishers Island*

7 Friar’s Head*

8 Winged Foot (West)*

9 The Country Club Brookline*

10 Somerset Hills*

11 Garden City*

12 Maidstone*

13 Bethpage (Black)*

14 Sleepy Hollow*

15 Quaker Ridge*

16 Oak Hill(East)*

17 Myopia Hunt Club*

18 Winged Foot(East)*

19 Old Sandwich*

20 Eastward Ho!*

21 Piping Rock*

22 Plainfield*

23 Kittansett*24 Pikewood National*

25 The Creek*

26 Essex County*

27 Baltusrol (Lower)*

28 Ridgewood (W/E)*East)*

29 Baltimore(Five Farms East)*

30 Hollywood*

31 Newport*

32 Glens Falls*

33 Aronimink *

34 Mountain Ridge*

35 Sebonack*

36 Baltusrol (Upper)*

37 Philadelphia Cricket(Wissahickon) x

38 Fox Chapel x

39 Lancaster  x

40 Whippoorwill

41 Boston  x

42 St.George’s

43 Wannamoisett  x

44 Atlantic x

45 Wykagyl

46 Sankaty Head

47 Pete Dye GC  x

48 Congressional (Blue) x

49 CC of Fairfield  x

50 Huntingdon Valley

 

 

GOLF Magazineでは世界と全米のコースランキングを隔年でアナウンスすること変更した事から、来年は日本のゴルフコースも対象となる世界コースランキングの年となります。

 

Text by Masa Nishijima  

Photo by Larry Lambrecht , Jon Cavalier, Evan Schiller & Clubs, GOLF.com