日本のゴルフ場は、もはや飽和状態なのではないか。
そんな疑問を抱きながら、東京クラシッククラブ・創設メンバーの一人、麦野豪氏に会った。
「東京クラシッククラブは、これまでと同じことはしない。だからこそ馬が必要なのです!」
それが、彼の第一声だった。

0-320x427ではなぜ、馬なのか。
「日本では『カントリークラブ』と名前の付いた場所がたくさんあります。けれども、実際にはゴルフしかできません。『カントリークラブ=ゴルフクラブ』それが日本の実情です。これを劇的に変えるために、ホーススポーツに注目したのです」。

本業は企業やブランドの再構築・リブランディングのスペリャリストである麦野氏。彼の目にホーススポーツはどう映ったのだろう。
「日本では馬と言えば競馬です。仮に乗りたいと思っても、乗馬施設に行くと最初は限られた場所で人が馬を引いて、我々は鞍の上に跨るだけです。正直なところ、面白いとは思いませんでした。けれども、海外では初心者であっても自由に乗せてくれました。自分の知恵と体力、気力を全て使い、馬が思い通りに動いてくれた瞬間、日常では味わえない達成感を得られたのです。そして、この快感は馬だからこそ味わえるのだと確信しました」。

大の大人が馬と対峙する。
相手はものも言わず、ただ真っ直ぐに自分を見定めている。
決して敵ではない相手と、どんな関係を築くのか。
全ては自分次第。

「馬に乗って初めて、馬は大人のスポーツだと思いました。それも『男』のスポーツです。馬に乗って戦争が行われていた時代には、馬は最高の相棒であると同時に、最大の弱点であるとも言われていたのだそうです。まさに『馬を御する者こそ世界を征す』でしょうか。強すぎず弱すぎず、 褒めすぎず叱りすぎず、何より力では絶対に勝てないからこそ、知恵を絞る。馬に乗っているといつも、自分を試されているかのように感じますね」。

 

かつては王侯貴族が挙って情熱を注ぎ、富と権力を象徴した馬。
時を経て、形を変えて、今もなお世界中で愛され続けるホーススポーツ。
そこにある真髄に心を奪われ、多くの大人たちが馬の虜になってきた。

「私は近い将来、東京クラシッククラブでポロをやりたいと思っています。周囲には『無理だ』と言われます。でも、できます。なぜなら、大切なのは『馬をどう楽しむか』だからです。馬と『意思が通じた!』と感じることが嬉しいのです。そして、馬に乗れるようになれば、それを活かして何かをしてみたいと思うでしょう。それがポロなのです。颯爽と走り、乗ったまま敵とぶつかり合い、ボールを奪い合います。まさに戦いです。血が騒ぎますね!」

そこには、ただ純粋に馬に魅了された男のロマンがあった。

【About Polo】

275m×145のグランドで、縦横無尽に馬を走らせ相手のゴールを狙うポロ。1チーム4人馬で7分間の試合を6回戦い、勝敗を決める。さらに、馬の疲労にも配慮し、通常、選手一人につき馬の数は4頭。この優雅で壮大なポロに、誰もが思い浮かべるのはヨーロッパの王侯貴族の姿。けれども実は最も盛んな国はアルゼンチンというのがさらに興味深い。
(抜粋:Equine Journal Maraque No.7 – www.maraque.jp

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MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。