Golf Atmosphere No.83 2022年度新春 ロッカールームトーク Part 2
新年あけましておめでとうございます。今年もGOLF Atmosphereを宜しくお願い申し上げます。
2020年冬から続くコロナ渦の社会ですが、ゴルフは幸いにも野外スポーツ、レジャーとして人気を高め、年間8ラウンド以上をするコアゴルファーの人口は急激な伸びを示しています。
欧州ではいつでも気兼ねなくプレーできるクラブメンバーになろうとする方たちが後を絶ちません。
嬉しいことですが、まだまだコロナは収束する気配はありません。もう一踏ん張り気を引き締めていきましょう。
グリーンフィの二極化
新年早々にゴルフの聖地St.Andrews Links Societyから驚きの通知が届きました。
今年度からハイシーズン期のオールドコースのグリーンフィを£195ポンドから大幅に£270ポンドにアップしました。理由はこの2年間におけるコロナ渦で外国人ゲストの数が大幅に減り採算の調整、The Openへの備えなどがその理由のようです。キャディーフィは£55からとこちらは据え置きのようです。
現在1£は155円ですから、ラウンドには最低5万円がかかる計算になります。1990年当時はまだ£25~40ですから30年でグリーンフィはほぼ10倍になったわけです。
オールドコースのグリーンフィが高騰を見せ始めたのはサッチャー政権下の金融改革ビッグバンから10年を経た1996年頃からです。グリーンフィは£70~90ポンドに跳ね上がり、市民の憩いの場のパブリックコースはいつの間にか米国人を中心とした外国人客のための高額なパブリックコースとなっていきます。
丁度この頃アメリカアリゾナ州のディベロッパーによって再建されたLoch Lomond GCがオープンし、ゲストグリーンフィは何と£250、コースの管理状況はどのスコットランドリンクスよりも優れ、当時カリフォルニアのPebble Beachを超えるグリーンフィと話題にもなりました。
これに吊られるかのように2000年に入りますと名門リンクスと称されるクラブはどこもスプリンクーラーの設置などコース管理に手間とコストをかけていきます。
そしてグリーンフィが£100ポンドの大台に乗ると毎年のように値上げし管理コストも高騰していきます。
St. Andrewsは昔から日曜日は教会でのミサを理由に安息日、コースは休日となりますが、他のプライベートリンクスは土曜日はメンバーオンリー、日曜日から金曜日までゲストを迎え入れるシステムを取っているクラブもあります。
ちなみに2022年度スコットランドの名門リンクスのハイシーズンにおけるグリーンフィは以下のようになっております。
St.Andrews Old Course £ 270 New Course £ 120
Jubilee £ 120 Eden £ 60
Strathtyrum £ 40 Balgove £ 15
Castle Course £ 140
Carnoustie (Champ) £ 270
Royal Troon(Old) £ 285
Turnberry (Ailsa) £ 325
Muirfield £ 310
Royal Dornoch £ 210
Prestwick £ 220~250
North Berwick £ 200
Kingsbarns £ 294~346
Castle Stuart £ 245
どこも£200ポンド(3,100円)以上、メンバーでない一般市民たちには特別なローカル料金を設定しているクラブもありますが、本場のリンクスコースは明らかに二極化の時代を迎えています。
日本がバブル期だった頃、大勢の日本人がツアーを組んで本場スコットランドにリンクス詣の旅を楽しまれていましたが、当時の日本はグリーンフィが3万円など当たり前のバブリーな時代でしたから、スコットランドのゴルフ環境は天国のように感じられたでしょう。
しかし高騰し続けるグリーンフィは4~5ラウンドすれば日本円で20万円は超える事になります。ツーリスト向けのホテルの一泊分とグリーンフィがほぼ同じ料金なんてどこかおかしな時代に入っています。
Watson to Join Nicklaus and Player as Honorary Starter
(2022年度マスターズ大会でTom Watsonがオノラリースターターに)
今年に入り、マスターズ委員会から届いた最初のビッグなニュースは、昨年他界されたマスターズ最初の黒人ブレーヤー故Lee Elder氏の代わりにオノラリースターター(Honorary Starter)としてTom Watson氏が任命された事です。
Watson氏は1977, 81年の二度グリーンジャケットを手にし、メジャー8冠に輝きました。1949年生まれの72歳、マスターズ大会は2016年度を最後に引退していますのでむしろ遅いくらいの選出だったのではないでしょうか。
Jack Nicklaus, Gary PlayerともWatsonをwelcomeする喜びの気持ちをSNS上で発信しています。
マスターズファンの中には、ここにグリーン上の紳士Ben Crenshaw氏もJoinするべきでは?と唱える方たちもいます。
Jack Nicklausのコメント
「I could not be more delighted with the decision by Chairman Ridley to invite Tom Watson to join Gary Player and me as Honorary Starters for the Masters Tournament.
Tom, along with Gary, is not only one of my closest friends in or out of the game of golf, but Tom has a storied history at Augusta National.
Trust me, I know and the hard way. Tom is so deserving to be on that first tee Thursday morning of the Masters, and I am excited for him. Jack」
欧米人に引けを取らなくなった日本人の体格とパワー。
昨年度二刀流でMLBの話題と人気を独占した感のする大谷翔平選手の活躍、日本人としてイチロー氏以来のMVPにも輝きました。
驚くのはメジャーのスラッガーたちも圧倒するかのようなパワー、その打球速度と飛距離は別格です。実況担当の中にはディズニーの美女と野獣にちなんで「何て飛距離だ、Beautyだが彼はBeastだ。」と興奮し、その大谷の大ホームランを伝えたりしました。
メジャーのペナントレースがスタートして間もなく、オーガスタでは松山英樹がグリーンジャケットを手にします。その研ぎ澄まされたショットと鍛え抜かれた身体からのショットはPGAツアーでもトップクラスに仲間入りし、更にその正確性はデシャンボーよりも上と称えられています。
今月開催されたソニーオープンではそのパワーを威嚇なく発揮し、最終日バック9に入ると首位を行くRussell Henleyを威圧するかのような格上のゴルフを展開します。
最終72ホール目のバーディでついに並び、プレーオフ1ホール目でついに逆転優勝を果たします。72ホール目とプレーオフで2オンに成功した神がかった3Wショットに、こちらもヒデキは Beast!!だと大騒ぎするコメンテーターがいました。
大谷翔平、松山英樹、今、日本人がパワーで欧米人を圧倒する時代になりました。今年も二人から目が離せません。
さて次回のロッカールームトーク第3弾は皆様と共に名門ゴルフクラブとは?について語ってみたいと思います。
Text by Masa Nishijima
Photo credit by GOLF.com, Society of St. Andrews, Augusta National,
Sports Illustrated, Pau GC