05

新年がスタートしました。皆様、明けましておめでとうございます。
米国ゴルフ界では年明け早々に、米国ゴルフダイジェスト誌が、2017-18年度全米TOP100コースを発表され、世界中のゴルフコースマニアたちから様々な議論が沸き起こっています。ダイジェストの場合、各州を代表する評議委員(パネリスト)たちのその合計が1,200名ですから、投票への項目別なフォーマットは定められていても、ゴルフコースへの思考、評価基準のマニュアルはあくまで個々の判断に委ねられます。コースへの過大評価、過小評価はその辺りから生まれるようです。

東京クラシックもより高い評価を得るためにも、メンバーが一丸となって、ゴルフコースを学び、世界レベルのコースとは?をテーマに、これからも地道にコース改善をされていく事を望みます。
尚、ジャック・ニクラウスが設計及び監修されたコースで、今回全米TOP100に入っているのは以下の5作品になります。

ランク コース名(開設年)
15 MUIRFIELD VILLAGE G.C. with Desmond Moorhead (1974年)
41 SEBONACK G.C. 監修 (2006年)
42 CASTLE PINES G.C. (1981年)
81 VALHALLA G.C. (1986年)
99 MAYACAMA G.C. (2001年)

http://www.golfdigest.com/gallery/americas-100-greatest-golf-courses-ranking

02
03
04

オリムピックコースについて。

日本では新年早々、五輪組織委員会の森会長が、突然、「ゴルフは選手村からアクセスの悪い、しかも夏場の気温が40度近い霞ヶ関CCで良いのか??」とのコメントを記者団に向け話されました。森氏曰く「組織委員会に相談なくして開催コースが決定された。」とも申されていますが、競技団体であるJGAとIGFが霞ヶ関に決定したことをJOCに報告し、竹田氏がIOCに報告されているのですから、組織委員会が設立される前とはいえ、その段階で森氏がそれを耳にしていないわけはないはずです。おかしな話ですね。笑。
オリムピック後に誰もがプレーできる若洲リンクスで開催されるべきと、訴え続ける団体の中には、ゴルフ界のブラックボックスで開催コースは決定されたと非難される方たちもおります。しかし私が記憶する限り、霞ヶ関への決定は決してブラックボックスではなく、JGAもGDなど各誌もその流れはリポートされていました。

ゴルフが五輪競技として復活することが決定された時、湾岸再開発を起点に置いたコンパクト五輪の計画から、若洲リンクスがまず開催コースとして候補になりました。この段階では、ゴルフはアマチュアによる競技と考えられ、プロの世界ランキング60位の選手たちによる対決とは、誰もが想像はしていなかったのです。もし公認種目としてゴルフが選ばれたならば、トッププロによるメダル争いは当然考えられたでしょうが、公式種目として戻ってきたわけですから、トップアマによるものと誰もが考えていました。従って、若洲を多少改造し、仮設の練習場を設ければいけると関係者は想定していたのです。

ところがゴルフ復活の最初の開催地リオデジャネイロでのゴルフ競技へのキャンペーンにPGAプロたちが入り、トッププロによるメダル争い、それに相応しい新設コースの建設計画、コース設計家はコンペによって決定すると華々しくPRしたのです。この段階でJGA側が若洲に疑問を申し、世界中から集まるメディアのプレス会場は、全米、全英オープン並みの施設が必要と考えたわけです。更に、仮に数ホールがメインテナンスの問題を起こした時、練習場の充実など、様々なことを考慮した結果、日本の18ホールコースの用地では足らないと判断し、36ホールを持つコースに焦点を絞ったのです。この時点で候補に上がったのは、埼玉、千葉のコースではなく、湾岸線からアクセスが良いとされる神奈川のゴルフ場で、戸塚、横浜、相模原で、その中でも名匠クレンショー&クーアによる改造計画で話題を呼んでいた横浜が第一候補に上がっていました。
ところが、JGAの中には、横浜、戸塚と、一オーナーが所有するクラブに、オリムピックのレガシーを与えるのはいかがなものか?との意見が多数を占め、結果、一般社団法人にあるメンバーによるメンバーのクラブ、国際大会の経験も豊かで、ジュニアゴルファーの聖地でもある霞ヶ関CCが、第一候補としてリストアップされたのです。

霞ヶ関は2007年度辺りから東コースの改造計画が持ち上がり、事実、ジム・ファジオにより、マスタープランが描かれ、試験的に3ホールのバンカーの改造を試みました。しかしモダン過ぎるバンカーの美観性に、メンバーの多数が激怒し、改造計画は一時棚上げとなりました。それから数年後に、オリムピックコースの要請が届き、地元川越市との協議の結果、引き受ける事となったのですが、幾度も視察に訪れていたIGF側が、36ホールをフルに活用したいとの発想から、西コースのバック9と東コースのバック9のホールをメインとしたコンポジットコースの改造案を打ち出してきたのです。
霞ヶ関側は、この案に否定的でした。その理由として、コース改造の予算は、あくまで自前にプールしてあった予算の中で賄う計画であったので、IGFの案を受け入れるならば、36ホールすべてを改造しなければならない。霞ヶ関はそれでは予算がショートしてしまうので不可能との事をIGF側に伝え、当初の計画通り、東コースだけの改造で宜しければ、オリムピックを引き受けるとの結論を申し出たのです。若洲リンクスを推進する団体の方達は、この経緯を全く理解せずに、霞ヶ関が税で賄うオリムピック予算の中で、コース改造をしているなどの噂を流し、ゴルフ界の名士たちが集う霞ヶ関側のプライドを深く傷つけた事は確かです。又、その団体に属する某国会議員の「霞ヶ関は、女性をメンバーに迎え入れない男尊女卑の倶楽部」との偽った話が、ラジオやTVでも流され、これには霞ヶ関側の女性メンバーたちがかなり激怒され、直接某議員の元に、抗議文を出すとの騒ぎにもなったようです。更にこの議員は、丸川オリムピック担当大臣に、アトランタ五輪の際、ゴルフが「公認競技」として候補に挙がった時、オーガスタナショナルが推薦されたが、当時、男性オンリーのクラブだったことから、サマランチ会長がノーを申しつけたというとんでもないデマを伝えたことです。
皆さんはオーガスタナショナルが招致に手を挙げたと思いますか??笑

マスターズ大会を至上に置くオーガスタナショナルが、夏のコースクローズ期間に、オリムピックにコースを貸し出すわけなどありえない話です。某議員のコメントを初めて目にした日に、私は、スポーツイラストレイテッド(SI)、GOLF.comのシニアライターたちに、この事実があったのかを再度確認しました。

全員がそのデマはどこから来たのですか?と失笑し、マスターズ委員会からお怒りを買いますよと忠告をしてきました。相手は霞ヶ関を遥かに超えた世界の名門、オーガスタナショナルなのですから、そのプライドたるや半端ではありません。当時、確かにLPGAの選手たちの中で、もしオーガスタナショナルで開催されるならば、私たちにもマスターズを経験できるチャンスになると発言したプレーヤーもいました。そして彼女たちのコメントは報道されましたが、しかし、オリムピックでゴルフが公認競技に推薦されるならば、プロ、アマのメジャー大会を開催してきたアトランタアスレティッククラブが会場の候補になっていたのです。男女同時開催という理由から、36ホールを持つ同クラブが一番に推薦されたのです。

霞ヶ関東コースは、名匠トム・ファジオの息子、ローガン・ファジオ率いる設計チームによってコース改造は行われましたが、今年の4月を迎えるまでは、その進行状況もすべて、メディアにはシャットアウトし、あくまで改造はオリムピックの為でない、自らの倶楽部の為であることを主張されてきました。海外のメディアでは、GOLF.com、GCAのシニアライターたちも門前払いを受けたほどです。どうしてこんな事態になってしまったのか、その原因を作ったのは一体誰なのでしょうか? 戦前からの一般社団法人倶楽部で、霞ヶ関ほど、一般にもコースを開放してきた倶楽部はありません。その一つの例が、ジュニアたちのデスティネーション、アマトーナメントの聖地と崇められていることです。つまりJGAの本山コースと言っても過言ではありません。ゴルフが他のスポーツに対抗できる唯一の事、それは歴史です。6~7世紀もの歴史を持った球技は他にありません。 つまりそれは補えないものも、その歴史がカバーしてきたことです。

01

オリムピックを機会に、名門と一般の方たちの触れ合い、繋がりは、日本ゴルフ界の将来にとって大変重要なことだと思います。
霞ヶ関のことですから、オリムピック後のレガシーも、一般に向けて開放する曜日を設定してくれるはずです。

若洲リンクスを支持する団体に伝えたいのは、もし若洲で開催するならば、仮設の練習場、世界レベルのトーナメントコースへの大改造が必要になり、その予算はオリムピックだけに半端ではない金額になるでしょう。地形に高低差をつけるために盛り土をするならば、地中でメタンガスが爆破し、地盤沈下を起こしている土地の地盤改良も必要になるでしょう。そうなればとんでもない額の税金が注ぎ込まれることになる。ゴルファーにとっては素晴らしいことでも、ゴルフをされない都民、国民がそれを認めるでしょうか? ゴルフが非難を受けることは絶対に避けなければなりません。

2017-18-americas-100-greatest-courses-chart-2
2017-18-americas-second-100-greatest-chart

MASA NISHIJIMA