連載 GOLF Atmosphere No.107 / 地中海の宝石サルデーニャ島のゴルフコース探索。
地中海ではシチリア島に次いで大きいサルデーニャ島、面積は日本の四国の1.3倍ほどで、ゴルフ旅物語シリーズ1でご紹介したフランス領コルシカ島のすぐ下に位置するイタリア領の島です。それぞれに異なった特徴を持つビーチの美しさは地中海一とも称され、7~8月のサマーホリディ期間中にはイタリアだけでなく、欧州全土からセレブ達が訪れます。その事から一般のホテルよりも長期滞在用のビッラが数多く点在しているのもこの島の特徴です。
地中海有数のリゾートアイランドですが、島の歴史は古く、45年前に15万年ほど前に大陸からこの島に人が渡ってきた痕跡が発見されました。その先史時代から古代ヌラーゲ文化の痕跡を伝える石積みの遺跡群は島の至るところに見られ、その数は7000を超えるとも言われています。またCantina Arvisionaduのワイナリーの近くのBenetuttiの町には古代ローマ人達が愛したとされる温泉(Terme Aurora di Benetutti)もあり、現在も石積みの遺跡の中から湧き出ています。温泉マニアにはたまらない訪問箇所の一つでしょう。
古代ローマの時代が終わると島はアラブ人の侵略を受け崩壊されましたが、中世の時代には長くスペイン領となり繁栄し、18世紀にはピエモント・ザボイア公が実権を握りサルデーニャ王国が誕生します。 後にこの王国が中心となってイタリアは国土統一を果たし、現在の共和国の礎を築く事になります。つまりサルデーニャはイタリアの歴史にとって大変重要な役割を果たしてきた島でもあるのです。
野外博物館のように遺跡が残るこの島の魅力を20世紀初頭、ここを訪れた英国人作家D.H.ローレンスが「サルデーニャは他のどことも似ていない歴史的風景とその文化を美しい海が包んでいる。」と伝え、それがキッカケで多くの旅行者が訪れるようになったそうです。当時はまだ船でイタリア本土からやってきたのでしょうが、現在はカリアリ、アルゲーロ、オルビア(Cagliari, Alghero, Olbia)の三つの空港がイタリア国内からだけでなく、欧州各都市とも直航便で繋がっています。フランス領コルシカ島ともフェリーの便があり、トラベリングゴルファーにとっては両島を結ぶ絶好のアクセスルートとなっています。
さてここから本題であるサルデーニャのゴルフ場紹介に入っていきます。
サルデーニャ島には現在18ホールと9ホールコースが各4コース、6ホールコースと3ホールコースが各1コース、そしてピッチ&パットのショートコースが二つあります。
その中からいくつか素晴らしい作品をご紹介していきましょう。
まずはオルビアから北へ25km, 島の北東に位置するPevero GCは1972年にRobert .T. Jones Srが設計した作品で、美しいコーストラインの望む高低差45メートルの丘陵地に広がるPAR72, 全長6107mの18ホールは、1979年に米国ゴルフマガジン誌が世界のGreatest Golf Courses 50に選出した事もあるサルデーニャのベストコースでしょう。
カリアリから南へ40km, 島の南端に位置するIs Molas GC & Resortは1975年にHenry Cotton & Frank Penninkの設計チームにイタリア人設計家Pierro Mancinelliが加わり最初の18ホール(Championship)が完成され、後にGary Playerの設計チームに在籍したFranco Piras設計による9ホール(Yellow)が追加されて、現在27ホールを所有するリゾートクラブとなっています。
サルデーニャでも比較的高低差(約20メートル)が少なく、その事から過去4度イタリアオープンが開催されています。
カリアリから東へ海岸ルートを抜けて約60km、カンフロングの丘にレイアウトされたTanka Golf Villasimiusはサルデーニャで最も高低差の厳しいPAR70 の18ホールコースです。
コース設計はイタリア人設計家のL.R.Caremoliです。全長は5418メートルのコースですが、アップヒルに向かうホールも多く、決して侮れません。
海抜30メートルの位置にある1番ティをスタートして、2番グリーンまでは一気に43メートルを登ります。
PAR5の12番グリーンが標高の一番低い箇所で海抜16メートルですからコース全体の高低差は何と57メートルに及びます。しかしコースから見るコーストラインはまさにサルデーニャの絶景ポイントの一つとも称されています。
サルデーニャのゴルフコースは海岸線に近くとも山間が近いので高低差も厳しいですから必ず乗用カートを借りて下さい。
アルゲーロから南へ山間の道を抜けて約90km, 総面積1,100ヘクタールを誇るサルデーニャ島最大のリゾート、Is Arenas Resortがあります。
ここの内陸側の林間地に2002年にオープンしたIs Arenas Golf & Country Clubがあります。コース設計は日本のホウライや西那須野でもお馴染みのRobert Von Haggeです。
18ホールの高低差は24メートルとサルデーニャのゴルフコースでは比較的穏やかな方でしょう。しかしながらバンカーやHaggeらしい池の配置を巧みに操った林間地帯でのホールレイアウトの構造はクラブ選択を悩ませるでしょう。
9ホールコースでは、コーストラインに沿って美しくレイアウトされているGolf Club Puntaldiaがホリディーコースとして人気があります。オルビアから南東に30km、プンタルディアの自然豊かな半島を活かしたDue Lune Resort Golf & Spaの所有コースです。
他に9ホールコースとしてCagliari GC, 同じカリアリには6ホールのLa Mora Bianca G & CCがあります。 オルビア郊外では9ホールコースのBotani Golf Sacubaも地元ゴルファーから人気があります。
地中海の島々へ、ハーフのキャディバックを片手にゴルフ場を巡る旅もお洒落なものですが、サルデーニャの旅はゴルフだけではありません。地中海一美しいとされるビーチの数々、そして古代からの遺跡散策も是非忘れないで下さい。
Text by Masa Nishijima
Photo Credit by Masa Nishijima, CharmingSardinia,SardegnaTurismo,
Is Arenas Resort, Is Moras Golf Resort, Terme Aurona di Benetutii.