6年程前に北京在住のゴルフコンサルタントである高橋秀樹氏から紹介を受け、GOLF Travel誌のCEOから「Asian Top100 Coursesを制作したいがそのノウハウを教えて頂きたい」と連絡を頂き、GOLF MagazineとDigest、Weeklyの査定方法とノミネートリストの作成基準、パネリストの選択基準などを伝え、

アジアですから出来るかぎり忖度出来ない投票基準を設け、彼らにそれを実施させました。もちろん私の仕事はそこまでで、そこからの運営はもちろん、パネリストとしての参加はGOLF.comの手前出来ません。

但し、私が国際顧問をしているUK版世界TOP100コースのボードメンバーや優秀な投票者を紹介、更に世界はもちろん、アジアの名コースを数多くプレーしている優秀な日本人をパネリストに加えるよう指示致しました。

5年前に第一回目のランキングが産声を上げ、開発者の一人としてその時は様々な問題点の指摘もさせて頂きました。

2回目からはパネリストも増えたことから大分まともなランキングにもなってきたように感じます。現在は中国、韓国人が中心となってタイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、日本、更にアジアに見識ある豪米の方たちも加え計70人のパネリストがいるそうです。

GOLF Travel誌は中国、及びアジアのセレブリティな華僑人が購読されていますが、同誌でのアジアンランキングは今回が3回目となります。TOP100に選ばれたその内訳は、日本から22コース、韓国、中国から各20コースですから、選考委員会はゴルフに文化論を唱える日本に大分気を使われたのでしょうか。笑、

過去2回、ランキングトップに君臨していた海南島のShanqin Bay GCは、皆様もご存知のように政府が不正に行われた開発許可やそこで生まれた賄賂を取り締まる為の政策として多くのゴルフコースを崩壊、運営許可が取り上げました。Shanqin Bayも同様でした。政府の命により海岸線の17番ホールが植栽され使用不可となった為、余っていた用地にパー3ホールを設け、何とか18ホールを賄ったような状態から、委員会はノミネートの段階でリストから外したようです。この辺りの説明を聞くと大分忖度のないコースランキングになってきたと確信しております。

アジアにおけるゴルフコースの開発の特徴及びその世界でゴルフを学ばれてきたパネリストたちの評価を見ると、彼らの特徴は欧米で流行っているクラシック系のコースよりもモダンでゴージャスな美観をベースに、戦略性やショットバリュー、印象度などを査定している様に感じます。トーナメントコースはタフさの点からも評価は高くなる。そんな節がある様にも見えます。

それではランキングTOP10から解説していきましょう。

 

TOP10.

 1. Bridges 韓国

2. 広野GC 日本

3. South Cape Owners Club 韓国

4. 川奈 富士コース 日本

5. Spring City Golf Resort Lake Course 中国

6. Anyang CC 韓国

7. The Dunes at Shenzhou Peninsula Composite Course 中国

8. 東京GC 日本

9. Sheshan International GC 中国

10. Wellington CC 韓国

* Ranked #2  South Cape Owners Club  韓国

 

Shanqin Bayに代わり、トップの座についたのは前回3位だった韓国済州島のNine Bridgesでした。これはここで開催されるPGAツアーCJカップの影響も強いかと存じます。広野はオリジナルをテーマにリノベーションされた事がここでも話題になっていた様ですが、2019年に訪問された彼らの中には広野にあった伝統のオーラが消えてしまったと述べるパネリストたちもいました。また広野にしかなかった日本古風の趣が無くなり美観がチグハグになったのは残念ですと述べる芸術家の中国人パネリストもいます。果たして今年、また2年後と広野はGOLF MagazineDigestのワールドランキングでどう評価されていくのでしょうか。

Wellington CCがトップ10に入ってきたのは驚きです。

* Ranked #7  The Dunes at Shenzhou Peninsula Composite Course 中国

 

 

TOP20.

 

11. Sentosa GC Serapong Course シンガポール

12. Mission Hills Haikou Blackstone Course 中国

13. 霞ヶ関CC 東コース 日本

14. The Woo Jeong Hills CC 韓国

15. 鳴尾GC 日本

16. Pine Beach GL 韓国

17. Ayodhya Links タイ

18. Hoiana Shores GC ベトナム

19. Yas Links アブダビ

20. Emirates GC Majlis ドバイ

* Ranked #18 Hoiana Shores  ベトナム

 

中韓のパネリストたちが日本人や欧米人に比べ、モダン志向のコースが好みだと述べた一つの例がここのランキングに出ています。日本の霞ヶ関東が鳴尾より高く評価されている点です。霞ヶ関東コースはクラシックの原型を修繕するリノベーションというよりLogan Fazioによりモダンコースに改造されたと言っても過言ではありません。90年のコース史を封印してもモダンに改造する理由がどこにあったのでしょうか。米国の専門家たちはそこに疑問を抱いています。GOLF Magazineでもその評価は高くなく、逆に日本のクラシックなスタイルを保持する鳴尾の方が遥かに高く評価されています。

ここではPine Beach, 鳴尾以外はワールドクラスのトーナメントコースが名を連ねています。注目はベトナムの新設Hoiana Shores18位に登場した事です。但し最近ニュースにもなりましたが、コロナ禍の中、国際線は長く運行されず、また中国政府がベトナムでのカジノ禁止令を出した事から、カジノ運営に大きな期待をしたゴルフリゾートの開発は、今後大きな痛手を被ると見られています。このHoiana Shoresも多くの従業員が一時解雇となり、ホテル自体の運営が危ぶまれている状態です。

* Ranked #16  Pine Beach  韓国

* Ranked #12 Mission Hills Haikou Blackstone Course 中国

 

 

TOP30.

 

21. TPC Kuala Lumpur West Course マレーシア

22. 北海道クラシック 日本

23. The Bluffs Ho Tram Strip ベトナム

24. The Jack Nicklaus GC 韓国

25. Lan Hai International GC 中国

26. 龍ヶ崎CC 日本

27. Ria Bintan GC Ocean Course インドネシア

28. Anvaya Cove GC フィリピン

29. Trump International GC  ドバイ

30. 我孫子GC 日本

* Ranked #25 LanHai International 中国

 

マレーシアのPGAツアーコース、TPC Kuala Lumpur West Course2度のリノベーションによって大きくランクを上げてきた事に注目します。北海道クラシックが日本の雑誌ではTOP10にランクされる我孫子や龍ヶ崎をおさえ、22位に入っていたのには驚きです。過去15年、中韓では北海道ツアーがブームを呼び、その中でゴルフと言えば北海道クラシック、小樽CC、札幌GC輪厚が三大コースとして評価され、彼らはどれだけ高額であろうとこの3コースをプレーすることにゴルファーとしてのステータスを感じていたようです。この3コースには相当数の投票が入っているでしょう。同じ評価でも平均点で表せば投票数の多いものが優位です。

気になるのはThe Bluffs Ho Tram Strip(ベトナム), The Jack Nicklaus GC(韓国), Lan Hai International GC(中国)3コースが大きくランキングを下げている点です。そのどれもが前回及び他のランキングサイトでも北海道クラシックよりも高く評価されていた作品です。韓国のThe Jack Nicklaus GCを抜いたことで、アジアで数あるニクラウスチームの作品の中では、北海道クラシックがナンバー1に評価されたことになります。

LanHai InternationalMike ClaytonOgilvyの豪州チームが大幅に改造し、他のランキングサイトでは中国ではナンバー1の高評価を得ていましたが、ここではランキングを落としているのは意外な気もします。

* Ranked #23 The Bluffs Ho Tram Strip ベトナム

 

 

TOP40.

 

31. The Yulin Desert GC 中国

32. Jade Palace GC 韓国

33. Empire Hotel & CC ブルネイ

34. Spring City Golf Resort Mountain Course 中国

35. Whistling Rock CC 韓国

36. 大洗GC 日本

37. The Star Hue Golf Resort 韓国

38. 小樽CC  日本

39. 札幌GC 輪厚コース 日本

40. Montgomerie MAXX Royal トルコ

* The Yulin Desert 中国

 

ムウス砂漠を緑化させる計画が進む中、標高1100mの揄林市(Yulin)に開発されたYulin Desert GCがここにきて注目され、一気にランキングを上げてきました。逆に韓国最大のマウンテンコース、Whistling Rockはその評価を落としています。これはオーナー側の都合でリノベーションが途中半ばで頓挫した事から18ホールに纏まりが見えないからでしょう。

日本からは大洗、小樽、札幌輪厚がこのクラスにランキングされています。

* Ranked #35 Whistling Rock CC   韓国

 

 

TOP 50.

 

41. 古賀GC 日本

42. Jumeirah Golf Eastates ドバイ

43. Wind Valley GC Members Course 中国

44. 大阪GC 日本

45. Amata Spring CC タイ

46. 軽井沢GC 日本

47. Clearwater Bay G&CC 香港

48. フェニックスCC 宮崎  日本

49. Enhance Anting GC 中国

50. 横浜CC 西コース  日本

* Wind Valley GC 中国

 

深圳市、標高450mの山岳地にレイアウトされたWind Valley GCのメンバーズコースが高い評価を得てきた。設計は中国で20コース近くを手掛けているネルソン&ハワースのコンビ。日本からはここで古賀、大阪、軽井沢、宮崎フェニックス、横浜の5コースがランクされている。古賀、軽井沢、横浜のランクダウンは気になるところだが、多分横浜は日本オープン当時、コンディションが最悪だった時期に視察されたパネリストが多かったのではないだろうか。逆に大阪はここ数年資金にも恵まれコースコンディションは良好で、それがランクアップに繋がったようである。古賀はクラシックコースに見識ある方でないと正しい評価はできないかも知れない。

 

 

TOP60.

 

51. The Els Club Teruk Datai マレーシア

52. Shanghai Links GC 中国

53. 西那須野GC 日本

54. Haesley Nine Bridges 韓国

55. 東京クラシッククラブ 日本

56. Shenzhen Genzon GC Aコース 中国

57. Kunming Yulongwan GC 中国

58. 茨木CC 西コース 日本

59. Jeju Black Stone Golf Resort 韓国

60. 霞ヶ関CC 西コース 日本

* Haesley Nine Bridges  韓国

 

マレーシアのThe Els Clubは名前の通り、ランカウイ島で発表したErnie Elsの設計チームの作品でノーバンカーのリゾートコースで知られます。韓国のCJグループが所有するNine Bridgesの第二コース、Haesleyが大幅なランクダウンをしたようですが、トリッキーで且つ水際の戦略も美観性を重視していた為、欧米のワールドランキングでは元々ノミネートするほど高い評価にはありませんでした。中国昆明のKunming Yulongwan GCがランクされていますが、昆明といえば近郊の世界遺産石林(シーリン)の中にあったStoneforest International G&CC 3コースが政府の命によって閉鎖、破壊された事が惜しまれます。特にLeader Peaks Courseはその絶景のコースレイアウトに世界中のゴルフコースマニアたちが押し寄せました。

日本からは西那須野、東京クラシック、茨木、霞ヶ関西コースがランクされています。東京クラシックはそろそろバンカーの修繕作業をする時期に来ているかと感じます。また更に上を目指すならば杉林のフラットな地形に沢が入るその特徴を活かしたランドスケープの構築が必要かも知れません。

さて61位からの100位までのランキングは以下の通りです。

* 今は亡きStoneForest International Golf & CC  中国

 

 

TOP70.

 

61. Nicklaus Club Beijing 中国

62. Gapyeong Benest GC 韓国

63. ゴールデンヴァレーGC 日本

64. Carya GC トルコ

65. Jian Lake Blue Bay GC 中国

66. Topwin G&CC 中国

67. Trinity Club 韓国

68. Red Mountain GC タイ

69. Saadiyat GC ドバイ

70. Sunshine GC  中国

* Sunshine GC  中国

 

TOP 80.

71. Hidden Tiger GC 中国

72. Tanah Merah CC Tampines Course シンガポール

73. The Mines GC マレーシア

74. Laguna Lang Co GC ベトナム

75. The Players Club 中国

76. Bali National GC インドネシア

77. Beijing Shadow Creek GC 中国

78. Forest City Golf Resort(LGK Classic) マレーシア

79. Kota Permi G&CC マレーシア

80. Royal Calcutta GC インド

* Bali National インドネシア

 

 

TOP 90.

 81. Siam CC Old Course タイ

82. Laguna National G&CC Classic コース シンガポール

83. Sky Lake Resort GC Lake Course ベトナム

84. De Beach GC 韓国

85. 太平洋クラブ 御殿場コース 日本

86. Ta Shee G &CC 台湾

87. Black Mountain GC タイ

88. The Jockey Club Kau Sai Chau Public GC North Course 香港

89. Teddy Valley G&Resort 韓国

90. Royal Jakarta GC West Course インドネシア

* The Jockey Club Kau Sai Chau Public G.C香港

 

 

TOP100.

 

91. Hongkong GC New Course 香港

92. Sueno GC Pines Course トルコ

93. Dongzhuang Beach GC Links Course 中国

94. Pinx GC 韓国

95. Abu Dhabi GC  アブダビ

96. Lotte Sky Hill CC  韓国

97. Thai Country Club  タイ

98. Blue One Sangju G&CC 韓国

99. Sagewood Hongcheon CC  韓国

100. Rainbow Hills GC インドネシア

* Pinx GC  韓国

 

Text by Masa Nishijima

Photo Credit by Masa Nishijima, GOLF Travel Magazine, Balcony Media.