田んぼプロジェクトでは、地元の詩人・ネイチャーガイドの大島健夫氏に東京クラシッククラブに住む生き物達の解説をしてもらいました。

好評につき、引き続き、生き物紹介をして頂くことになりました。

今回は、イタチとカワセミです。

 

二ホンイタチ       

学名 Mustela itatsi 

イタチは、小さな猛獣です。

しなやかな体で陸上と水辺を巧みに動き回り、魚、両生類、爬虫類、鳥類、ネズミなどを捕食し、自分より大きな獲物を襲うこともあります。かつては鶏小屋を襲うこともありました。里山環境の変化に伴い、生息域、生息数ともに減少していることは確かなようですが、とにかく千葉市内にも、イタチという、小さいけれども美しい肉食動物がしっかりと生息しているのです。

これは全く私の推論なのですが、「ツチノコ」の正体の一つが、このイタチなのではないかと思っております。

手足が短く、体が柔軟で素早く動くイタチは、光の加減などによってまるでヘビのように見える時もあります。体のサイズ、生息するとされる環境、肉食、縦に体をくねらせる、ジャンプする、声を発する、などの特徴も完全に一致します。全てのツチノコ目撃例をイタチで説明することは到底できないでしょうけれど、その中には確実に、イタチを誤認した例があるのではないでしょうか。

 

カワセミ

 学名 Alcedo atthis

カワセミというと、いかにも「清流の鳥」という感じがします。しかし、実際には、都市公園の池、三面張りのコンクリート水路、深さが親指くらいしかないドブ溝、あるいはまた海岸など、けっこういたるところで遭遇します。

美しいコバルトブルーの体色と、ドラえもんのような丸っこい体つき、それに長い嘴が、この鳥の外見的な三大特徴と言っても良いでしょう。間近でよくよく見ると実に大変頭でっかちというか、三頭身くらいしかないのですが、この大頭と長い嘴はだてについているわけではなく、水中に急降下して魚などの小型水棲動物を捕えるには、こういう体の構造が必要なのです。。

この嘴は、捕食だけでなく巣穴を掘る際にも活躍します。垂直の川岸などに、時に1mにも達する横穴を掘るのです。穴を掘れないコンクリート護岸の場所などでは、排水口のパイプを利用したりと無理矢理に工夫している姿も見られます。おそらく、カワセミは、人を寄せつけない清流の鳥というよりも、人為的に悪化する環境の中で必死に生き残ろうとしている鳥といった方がより当たっているでしょう。皆様のお近くにお住まいのカワセミに対しても、繁殖の時期になったら、みんなで大きなカメラを抱えて巣の前に集まったりせず、なるべくそっとしておいてやっていただきたいと思います。それによる営巣放棄などは悲しいことです。

 

文・写真 大島健夫(詩人・ネイチャーガイド)