全米に感染拡大していく新型コロナウィルス(COVID-19)の勢いは止まることを知りません。3月28日現在、感染者数は12万人を超えました。

そんな中、3月13日にマスターズ委員会は2020年度大会の秋への延期を決定しました。マスターズウィークは齎すオーガスタ市への経済効果は高く、市の財界人たちは中止ではなく、なんとか延期の方向に運べるように委員会に申し伝え、4月開催の中止を要請していた市の保健福祉省とも協議をしていたようです。

秋のどの時期がベストであるか、ご存知のようにオーガスタナショナルは蒸し暑い夏の期間を含む5月から10月第1週までクローズにして翌年のマスターズに備える準備を始めます。意外に知られていないのはオーガスタのフェアウェイがバミューダ芝をベースとしていること。そこで涼しくなる9月初頭あたりからライグラスをオーバーシードして翌年の大会に備えます。

多くの関係者は10月初旬から半ばにかけてだろうと予測していますが、その頃はまだバミューダの性質が強く残り、フェアウェイも柔らかく、秋は4月とは異なり風も北から吹く傾向が強いので、これまでのマスターズ大会とは全く異質な環境になるだろうとクラブ関係者は語ります。

ジョージア州の10月は紅葉でも有名ですが、ただオーガスタナショナルは広葉樹が意外に少ないのです。気温は4月より3~4度高く、ハリケーンシーズンが終わる時期になることから湿度も4月よりはやや高いでしょう。フェアウェイが80%近くに仕上がるのは11月半ばくらいになる事からオーガスタナショナルを知る専門家たちは11月開催を望んでいます。


 

 

 

 

 

 

秋にここを訪れたルーク・ドナルドやローリー・マキロイは、4月とはあきらかに違う景色の中、コースの攻略法も大きく変わる。フェアウェイが柔らかくバミューダの性質が強く出るならば、ランも少なくPAR5の攻め方がまず変わる。風によっては3ショットホールとして捉えなければならないだろうと述べています。

つまり春のトータルヤーデージ7,475ヤードの距離は、秋にはやや長いイメージとなる。連覇を狙うタイガー・ウッズと初のグリーンジャケットでグランドスラム達成を狙うローリー・マキロイだけを対比した場合、秋開催はマキロイがやや有利となるでしょう。


 

 

 

 

 

さて秋開催についてコースメインテナンスに不安を抱くメディア関係者も多いが、実はオーガスタナショナルは夏にトーナメントを開催するためのカリキュラムを持っています。

1992年委員会の議長だったジャック・スティーブンスと当時まだメンバーではなかったがアトランタ五輪の委員で起業家のビリー・ペインが地元記者を前に会見を行いました。それは96年アトランタ五輪の際、ゴルフを五輪の特別種目としてオーガスタナショナルをその舞台にする案でした。スティーブンスはこの時すでに夏に開催するためのコース管理におけるカリキュラムを管理責任者に作成させていました。しかし二人のこの提案はメンバー達の強い反対にあい、翌週には消えてしまいます。
ビリー・ペインはその後オーガスタナショナルのメンバーとなり、2006年から2017年まで会長職を務めました。

 

 

 

 

 

 

コース管理への不安を払拭する材料としては、アトランタ郊外のイーストレイクGCで毎年8月末にツアーチャンピオンシップが開催されていることです。
皆様には18年大会でタイガーが5年ぶりに復活優勝を果たしたコースとしても記憶に新しいでしょう。

イーストレイクは球聖ボビー・ジョーンズが育ったホームコースでもあります。ここの管理データもフルに活用され、オーガスタナショナルは10月又は11月には完璧ではなくともマスターズ大会に相応しい状態に仕上げてくると期待します。


全米プロ(PGA Championship)の行方は。

 

 

 

 

 

 

カリフォルニア州サン・フランシスコの名パブリックコース、2009年にはプレジデンツカップも開催されたTPCハーディングパークで5月に開催予定だった全米プロ(PGA Championship)もマスターズ延期のニュースの翌週に、コロナウィルスの蔓延を理由に夏以降に延期を発表致しました。

昨年大会スケジュールを8月から70年ぶりに5月に戻したばかりで皮肉な結果となりました。
PGAツアーは、9月のライダーカップの前の夏開催を望んでいるようですが、果たして8月にウィルスは収束しているでしょうか。又、トップレベルのツアープロだけで競われる大会だけに、予備予選もないことから、4大メジャーの中では中止となるケースも考えられます。


全米オープンの行方は。

 

 

 

 

 

 

全米のゴルフ記者たちが懸念を抱いているのはマスターズの延期だけではなく、その年の最強ゴルファーを選ぶ全米オープンです。

政府関係者、著名人が次々と感染している中、軍が入り最初に封鎖されたニューヨーク州ニューロシェルの街は、全米オープンが開催されるウィングドフート(Winged Foot GC)から車で僅か5分のところです。その為、ゴルフクラブは非常事態宣言により閉鎖、大会に向けてのスタンドやパビリオンの建設などの工事は進んでおらず、立ち入ることができるのは数名の管理スタッフのみとなっています。

現在は延期予定となっていますが、まだ本選出場の為の予備予選のスケジュールもたっていない状態です。

USGAは開催延期か、又は開催地変更まで模索しているようで、「私たちは常に状況を監視し、関連する緊急時の対応計画を建てています。4月中旬には決定する予定です。」と述べています。

ただウィングドフート(Winged Foot GC)は毎年冬の期間、コースはクローズにしているので、延期も11月半ばまでが限界でしょう。


全英オープン(The Open)の行方は。

 

 

 

 

 

 

 

今年の全英オープンは南イングランドの名門ロイヤル・セント・ジョージス(別名Sandwich GC)で開催されます。

全英オープン開催コースの中では最も難攻不落なコースとも言われています。7月開催だけに4大メジャーの中ではスケジュール通りに運べそうですが、ここもオープン競技だけに本選出場への予備予選があります。それを考慮するならば6月までに収束していなければなりません。

ただ延期になった場合、南イングランドの気候はスコットランドとは異なり、比較的温暖ですから、11月~12月の冬期開催も十分に可能です。

前回のここでの大会には最終日7万人近いギャラリーが訪れただけに、コロナウィルスは100%収束していなければ、行政が開催を認めないという事にもなりかねません。

 

 

 

 

 

 

東京五輪も延期になり、メジャー大会全てのスケジュールは4月末までには発表されるでしょう。

しかし6月までにウィルスの蔓延が収束に向かわなければ、全大会が中止になることも考えられます。

 

Text by Masa Nishijima

Photo by Larry Lambrecht, GOLF.com, Harding Park, Masa Nishijima,