連載 GOLF Atmosphere No.128 / 世界同時発表 ゴルフマガジン誌世界TOP100コース。 (100 Greatest Golf Courses in the World 2025)

*St. George’s Hill #8 PAR3 英国
現在米国の雑誌業界は、70%以上がサブスクリプション(サブスク)の定期購入者で成り立ち、ニューススタンドなど店頭での販売は30%弱とも言われています。大半の専門チャンネルはWeb-Siteを立ち上げ、リアルタイム情報を流す時代になっています。ペーパーレス社会の中、あえて雑誌の存在価値を高め、紙文化を残すために考えられたのが販売ロスを無くすサブスクリプションの導入でした。
GOLF Magazine誌(登録名称GOLF)は、2018年に親会社が変わった事をキッカケに、情報量が豊かでしかもリアルタイムに伝えられるWeb-siteの「GOLF.com」をビジネスの主流とし、Magazine(雑誌)部門は年8回の出版に抑え、サブスクリプションの比率90%を目指し、雑誌の存在価値、その歴史観を保つ事に繋げました。来年からは更にその出版数も2ヶ月に一度の隔月年6回に変更されます。当然情報提供は年間購読者を優先とし、雑誌の発送は店頭販売予定日より一週間早くし、サブスクリプションの価値を高めています。従って、昨今GOLF Magazine誌を空港や駅のニューススタンドや書店で見かけることも少ないかも知れません。
欧米人ゴルファー達が日本の週刊、月刊のゴルフ雑誌に「一体、毎週、毎月何を取り上げて構成されているのか?」と誰もが驚きの表情を見せます。
その内容は深く伝えられませんが・・・(笑)

*GOLF Magazine、来年度の出版予定とその内容
さて11月になるとGOLF Magazineは隔年で世界、全米のTOP100コースを公表しています。奇数年が世界、偶数年が全米ランキングになります。
ランキングは、TOP3, TOP10, TOP25, TOP50, TOP75,TOP100, 更にTOP101-150, 151-200, 200-250、250以下のカテゴリー枠で投票されます。パネリスト(投票人)はその各枠のボーターラインを見極める見識と毎年視察するコース数が求められます。
本年度は世界TOP100コースの年で、更にTOP101-150までも紹介しています。
TOP50位前後まではランクの上下動はあっても不動の名コースが犇めきあっていますが、ゴルフコースマニアの読者たちにとって関心が高いのは、むしろTOP51~100位にどのようなコースがランクしてくるかでしょう。事実、New Comerのコースがランクされるのはこの辺りで、特にTOP75~100位までは結構な僅差です。更に100位と101位では通年0.3~0.5ポイントの差でしかありません。これは120名いるパネリスト(投票者)のうち、一人のパネリストが極端な辛口評価点を付けただけの差でしかありません。昨年はオランダの Utrechtse GC De Panやオーストラリア、タスマニアのキングス島のCape Wickhamがそれで涙をのみ、今年はピート・ダイの初期の頃の傑作The Golf ClubがTOP100への復活が果たせませんでした。そのような僅差でランクダウンされたコースも改めて紹介しようとここ数年、TOP101~150をネクストバケットリスト(Next Bucket List)としてアナウンスされています。
毎年、コースマニア達を騒がすような名作が次から次へと登場し、更に古きクラシックコースやリンクスはリノベーション及びレストレーションされ磨きをかけています。ハードルの高いTOP100選の枠だけでは話題性に欠けてしまうのも事実です。
それでは本年度の世界TOP100コース及び、TOP150位までを紹介しましょう。
尚、太字はNew Comer(新顔)、*はTOP100復活を果たしたコースとなります。
GOLF Magazine誌 The TOP 100 Courses in the World.
TOP1-3
1.Pine Valley (U.S)
2.Cypress Point (U.S)
3.St.Andrews Old (Scotland)
TOP4-10
4.Royal County Down (N.Ireland)
5.Shinnecock Hills (U.S)
6.National Golf Links of America (U.S)
7.Royal Melbourne West (AUS)
8.Augusta National (U.S)
9.Oakmont (U.S)
10.Sand Hills (U.S)
TOP 11-25
11.Muirfield (Scotland)
12.Royal Dornoch (Scotland)
13.Merion East Cse (U.S)
14.Royal Portrush Dunluce (N.Ireland)
15.Pebble Beach (U.S)
16.Fishers Island (U.S)
17.Chicago (U.S)
18.Trump Turnberry Ailsa (Scotland)
19.Tara Iti (NZE)
20.Pinehurst #2 (U.S)
21.Los Angels CC North (U.S)
22.Sunningdale Old (England)
23.Friar’s Head (U.S)
24.Kingston Heath (AUS)
25.North Berwick West (Scotland)
TOP 26-50
26.Riviera (U.S)
27.Prairie Dunes (U.S)
28.Hirono (Japan)
29.Ballybunion Old (Ireland)
30.Royal St. George’s (England)
31.Crystal Downs (U.S)
32.Seminole (U.S)
33.Winged Foot West (U.S)
34.Lahinch Old (Ireland)
35.Pacific Dunes (U.S)
36.Oakland Hills South (U.S)
37.The Country Club Clyde/Squirrel (U.S)
38.Morfontaine (France)
39.Carnoustie Championship (Scotland)
40.San Francisco (U,S)
41.Barnbougle Dunes (AUS)
42.Royal Birkdale (England)
43.Southern Hills (U.S)
44.St. Patrick’s Links (Ireland)
45.California GC of SFO (U.S)
46.New South Wales (AUS)
47.Shoreacres (U.S)
48.The Lido at Sand Valley (U.S)
49.Maidstone (U.S)
50.Swinley Forest (England)
TOP 51-75
51.Somerset Hills (U.S)
52.Garden City (U.S)
53.Royal Troon Old Cse (Scotland)
54.Portmarnock Old (Ireland)
55.Sunningdale New (England)
56.Bethpage Black (U.S)
57.St.George’s Hill A&B (England)
58.Prestwick (Scotland)
59.Camargo (U.S)
60.Oak Hill East (U.S)
61.Cruden Bay (Scotland)
62.Kawana Fuji (Japan)
63.Ballyneal (U.S)
64.Shanqin Bay (China)
65.Cape Kidnappers (NZE)
66.Lofoten Links (Norway)
67.Inverness (U.S)
68.Royal Lytham & St.Annes (England)
69.Cabot St. Lucia (St.Lucia)
70.Baltusrol Lower (U.S)
71.Kiawah Island Ocean Course (U.S)
72.Ardfin (Scotland)
73.Childress Hall Upper (U.S)
74.Woodhall Spa Hotchkin (England)
75.Peachtree (U.S)
TOP 76-100
76.Bandon Trails (U.S)
77.Sleepy Hollow (U.S)
78.Cabot Cliffs (Canada)
79.Te Arai South (NZE)
80.Old Town (U.S)
81.Royal Hague (Netherlands)
82.Royal Melbourne East (AUS)
83.Casa de Campo Teeth of Dog (Dominican Republic)
84.CapRock Ranch (U.S)
85.Bandon Dunes (U.S)
86.Myopia Hunt Club (U.S)
87.Nine Bridges (S. Korea)
88.Rock Creek Cattle Company (U.S)
89.Utrechtse GC De Pan (Netherlands)*
90.Rya Old Cse (England)
91.Winged Foot East (U.S)
92.Machrihanish Championship (Scotland)
93.Victoria (AUS)
94.Kingsbarns Scotland)
95.Royal Liverpool (England)
96.Cabot Links (Canada)
97.Castle Stuart (Scotland)
98.Te Arai North (NZE)
99.Ohoopee Match Club (U.S)
100.Cape Wickham (AUS) *
今回TOP100入りした新設の3コース、73位のChildress Hall(Upper), 98位のTe Arai (North)はTom Doak、84位のCapeRock RanchはGil Hanseの設計による作品です。
TOP100コースの10%を占める10コースはTom Doakの作品で、内、5コースは何とTOP50内に君臨しています。現役の設計家でDoakに続くのが、7作品を登場させているBill Coore & Ben Crenshawのベテランコンビで、彼らの最大の傑作Sand Hills GCはTOP10入りを果たしている唯一のモダンクラシックコースです。次に続くのがGil Hanseで3作品となっています。Hanseの作品で残念なのはフランスのLes Bordes Newコースが、ここ数年夏の干ばつでグリーンが使用不可となる事態に陥り、それが理由で今回TOP100から落ちてしまった事です。123位に甘んじています。
1980年代から2000年代にかけて一世を風靡したPete Dyeの名作もKiawah OceanとCase de Campoの2作品だけがTOP100に残り、Whistling StraitやTPC SawgrassなどPGAツアーの舞台となっている名コースはここ数年でTOP100から落ち、次点のTOP101-150位内にランクされています。
同じように過去には8コースもの作品をTOP100に送り出していてTom Fazioの作品が数年前からゼロに。同様に83年コースランキングが始まった頃から高い評価を得てきた Jack Nicklaus設計のMuirfield Villageが今回ついに落選してしまいました。Muirfield Villageについてはメモリアルトーナメント開催の為の改良が一部原因では?との噂も耳にします。
尚、アジアからは28位に広野GC(C.H Alison), 62位に川奈富士コース(C.H Alison), 64位に中国海南島からShanqin Bay( Coore & Crenshaw)、87位に韓国済州島からClub at Nine Bridges(Ron Fream & David Dale)の4コースが入選しています。
残念なのはベトナムで、過去20年、広大な海岸線の砂丘地帯に数多くの作品を誕生させながらも、そのどれもがビジネスを意識したかのように、グレッグ・ノーマン、ルーク・ドナルド、ニック・ファルド等、PGAツアーのレジェンズ達の名声を冠にしたプロジェクトばかりで、キャラクターの似た作品が短期間にいくつも誕生している事です。これではパネリストの関心を呼ぶことは出来ません。戦前からのゴルフ文化を継承し忘れたバブル期の日本とよく似た環境にあります。あれだけの素晴らしい土地の素材の上に、何故にCoore & Crenshaw, Tom Doak, Gil Hanse, Kyle Phillips等、モダンクラシックコースの作品を極めたコース設計家たちの作品が一つもないのか、もしあったならば、あれだけのコーストラインに沿った砂丘地帯に世界TOP100コースの一つや二つは誕生していたかも知れません。ゴルフコースは土地の素材さえ良ければ、正しい改良によってはいくらでも大化け出来るものです。今後のベトナムのゴルフ界に少し期待を持ちましょう。先ずはメディアがゴルフ文化、コース論説を書き続けてほしいと願います。
コースにも時代ごとにトレンドとなるものがあります。
パインヴァレーやパインハーストのように芝の開発がまだ万全でなかったクラシックコース初期の作品には自然の砂地をそのまま景観に生かしたコースが当たり前のように存在していました。2010年代に入ると時代を経て幾度もの改良、改造を繰り返したクラシックコースを昔のオリジナルの姿に復元する作業がブームとなりました。セピアカラーの昔の写真をもとに、砂地を露出させる設計の匠さも求められました。それは新設コースにおいても一つのトレンドとなりましたが、それらを露骨に出し過ぎると1980~90年代にブームとなった人工の池やクリークを活用したターゲットラインが一本のコースと同じ内容になり、戦略性に欠ける作品になってしまう危険も絡んできます。池がリカバリーのチャンスを与える砂地にかわっただけの作品と解釈されても致し方ありません。以前ここでもそれについて解説させて頂きましたが、当時懸念していた事が現実となり、それは作品のランクダウンの一つの要因にもなっているように思います。
それではTOP101-150のランキングを紹介しましょう。
*印が付いた作品は過去にTOP100にランクされていたコースです。
何とこの中の35コースがそれにあたります。
TOP101-150 (*印はかつてTOP100入りを果たしていた作品です。)
101.The Golf Club (U.S)*
102.Royal Porthcawl (Wales) *
103.TPC Sawgrass Stadium (U.S) *
104.Royal Cinque Port (England) *
105.Whistling Straits Straits Course (U.S) *
106.Eastward Ho ! (U.S)
107.Baltusrol Upper (U.S) *
108.Muirfield Village (U.S) *
109.Yeamans Hall (U.S) *
110.Pasatiempo (U.S) *
111.Toronto GC (Canada)
112.Barnbougle Lost Farm (AUS) *
113.Quaker Ridge (U.S) *
114.St. George’s GC (Canada) *
115.Tokyo GC (Japan) *
116.Valley Club of Montecito (U.S) *
117.The Creek Club (U.S) *
118.Pikewood National(U.S) *
119.St. Endoc Church Course (England)
120.Ellerston GC (AUS) *
121.Medinah #3 (U.S) *
122.Ganton GC (England) *
123.Les Bordes New (France) *
124.The Olympic Club Lake Course (U.S) *
125.Monterey Peninsula Shore Course (U.S)
126.Naruo GC (Japan) *
127.Old Barnwell (U.S)
128. Kittansett GC (U.S) *
129.Paraparaumu Beach (NZE) *
130.Walton Heath Old Course (England) *
131.Piping Rock (U.S)
132.The Honors Course (U.S) *
133.Old Sandwich GC (U.S) *
134.Royal Adelaide (AUS) *
135.Bel-Air CC (U.S)
136.Essex County Club (U.S)
137.Waterville GL(Ireland) *
138.Scioto CC (U.S) *
139.Trump International Old Course (Scotland) *
140.West Sussex (England)
141.Mid Ocean Club (Bermuda)
142.Congressinal Blue (U.S) *
143.Royal Aberdeen GC Balgownie (Scotland)
144.Wade Hampton (U.S) *
145.Royal West Norfolk (England)
146.Interlachen (U.S) *
147.Valderrama (Spain) *
148.Nanea GC (U.S-Hawaii) *
149.Old Elm (U.S)
150.Terras da Comporta. Dunas Course (Portugal)
100位と105位までの差は0.3~3ポイントの差でしかありません。そこから150位までが僅差ならば、そのカテゴリーにある50コースを紹介する義務はランキングを構成する側にはあるはずです。
GOLF.comではランキングエディターのSimon Holt氏とパネリストたちのディスカッションの場が動画で紹介されそのテーマ内容が話題となっています。そのテーマの中に何故戦後誕生したトーナメントコースはランキングを落としていくのか? があります。これはPete DyeのWhistling Strait, TPC Sawgrass、Jack Nicklaus設計チームのMuirfield Villageの落選を指してのことでしょうが、その最大の原因はビッグトーナメントを意識し過ぎるがあまり、コースの枠組み、つまりホールが額縁をはみ出した事によるランドスケープの損出などが挙げられます。OakmontやWinged Footなどメジャー大会が開催されるスケールあるクラシックコースとは評価に大きな差があります。
2019年以降に参加されたパネリスト達の中には、コース研究家としてGOLF CLUB ATLASなど特定団体に加盟されているベテランたちがいることもその要因でしょう。彼らはコース設計の定義、理念性を求める人たちです。それとは逆にかつて数多く存在していた元PGAツアープロたちがパネリストとして数名しかいません。彼らは攻略性とそのタフさに高得点を与える傾向にありましたが、名コースはタフでなければならない理由は今のトレンドにはありません。もしそれが求められるならば用具が進化する今日、コースは毎年のように改良を加えていかなくてはなりません。またコースのコンディショニングはどのように評価されるのか、海岸線のコーストラインが視界に入るコースはランキングに優位であるかなど、テーマ別にディスカッションされていますが、それはまた来月、2025年度総集編で解説させて頂きます。
Text by Masa Nishijima
Photo by GOLF.com, St.George’s Hill GC.