GOLF Magazine(GOLF.com)では、隔年に世界、全米TOP100コースを同時に発表していましたが、2017年より奇数年に世界TOP100コース、偶数年に全米TOP100コースを発表するように変更しました。これによってより密度の高い、信頼性を持たれるランキングがアナウンスできるようになりました。現在コースを評価するパネリストの数は125名、その内訳はUSGAなどゴルフ関係機関からのコース見識者、17名のゴルフコース設計家、ゴルフコースコメンテーター、世界的に著名なゴルフコース写真家、ゴルフコース史家及び研究家、ゴルフツーリズム経営者、世界中のゴルフコースをくまなく旅するコースマニアなどから構成されています。その年齢層も幅広く、上は70台後半から下は30代前半までその平均年齢は52歳、HCも+5~15までとなっています。現在HCが10を超える人もかつてはUSGAレートで6台を持っていたゴルファー達であり、年齢と共にそのHCは低下していったに過ぎません。彼らのゴルフコースへの見識は年齢と共により深まります。

 

 

それでは本年度の全米TOP100コースをTOP20, 40,60,80,100の順でご紹介していきましょう。

 

1. Pine Valley
2. Cypress Point
3. Shinnecock Hills
4. National Golf Links of America
5. Oakmont
6. Augusta National
7. Sand Hills
8. Merion East
9. Pebble Beach
10. Los Angeles (North)
11. Fisher Island
12. Chicago
13. Pinehurst (No.2)
14. Riviera
15. Friar’s Head
16. Prairie Dunes
17. Seminole
18. Winged Foot (West)
19. Pacific Dunes
20. Oakland Hills (South)

TOP5はここ数年変化はなく、TO10ではPebble Beachが9位と久しぶりに返り咲きました。その代わりにニューヨークの名門Fishers Islandが11位後退しています。TOP20ではCoore & Crenshawによるリノベーションが高評価を得たSeminoleが21位から17位にアップし、ミシガンの名門、アリスター・マッケンジーとペリー・マクスウェルの大作Crystal Downsが20位から23位に落ちています。しかしそれでもTOP25位までは米国のブリリアンカットな宝石コースたちです。

それでは次にTOP21~40位までのランキングに入ります。

 

 

21. The Country Club (Clyde/Squirrel)
22. San Francisco
23. Crystal Downs
24. Southern Hills
25. Shoreacres
26. California GC of San Francisco
27. Somerset Hills
28. Garden City
29. Maidstone
30. The Lido
31. Camargo
32. Old Town
33. Peachtree
34. Bethpage Black
35. Ballyneal
36. Oak Hill (East)
37. Kiawah Island (Ocean)
38. Rock Creek Cattle Company
39. Bandon Trails
40. Sleepy Hollow

 

このカテゴリーで注目してほしいのは昨年世界ランキングにも登場し、全米では何と30位にランクアップされたウィスコンシン州Sand Valley Golf Resortの第3コースThe Lido Sand Valleyです。戦前C.B Macdonald/Seth Raynorの大作として、本場リンクスの名ホールの攻略理論から引き継がれたテンプレートホールを集約したThe Lido GCでしたが、戦時中にロストリンクスとなり、ゴルフコース界のアトランティスコースと化しました。これまでこの名コースを現代に再現しようと様々なプロジェクトがありました。最近の作品ではタイのバンコック郊外で、横浜CC所有のクラブBallyshearもその一つでしたが、Sand ValleyのThe Lidoはコースのレイアウト、ルーティング、地形の高低差などトータルヤーデージ以外はすべてオリジナルと同じものを再現した作品として全米で大注目されました。古いリドの資料から再現図面をTom Doakが描き、パートナーのBrian Schneiderがシェーパーとして現場を指揮し完成に導きました。Sand Valleyはパブリックですが、The Lidoをプレーする場合はロッジに宿泊することが第一条件となります。このカテゴリーでもう一つ注目したいのはBandon Dunes ResortのCoore & Crenshaw設計の第三コースBandon Trailsが広大な海岸線のスケールを誇るDavid M Kidd設計の第一コース、Bandon Dunesよりも高く評価された事です。Bandon Dunes ResortではTom Doakの出世作となったPacific Dunesをトップに、やや内陸部にレイアウトされたBandon Trailsはコーストラインにないコースの景観性だけで第一コースより低く評価されていました。しかしアプローチエリアからグリーンへの攻略法など、18ホールに設計の匠が感じられる作品である事に多くのパネリストは気づいたようです。

 

 

41. Inverness
42. Baltusrol (Lower)
43. Myopia Hunt Club
44. Ohoopee Match Club
45. Winged Foot (East)
46. CapRock Ranch
47. Yeamans Hall
48. TPC Sawgrass (Players Stadium)
49. Bandon Dunes
50. Eastward Ho!
51. Old Barnwell *
52. Quaker Ridge
53. The Creek
54. Honors Course
55. Whistling Straits
56. Muirfield Village
57. Pikewood National
58. Valley Club of Montecito
59. Olympic Club (Lake)
60. The Golf Club

ここでは世界TOP100にも登場しているジョージアの新設Ohoopee Match Clubの評価がやや低下傾向にあります。Hanse/Wagnerのコンビの作品ですが、以前に指摘したように砂地を極端に露出するデザイン性に疑問を投げかけているパネリスト達が多くなっているのかも知れません。オーガスタからも近いサウスカロライナAikenのOld Barnwellは、Tom Doakの造成パートナーであるBrian Schneiderの単独作でこのプロジェクトにDoakは関わっていません。コースに相応しい地形に壮大なスケールのモダンクラシック作品で、その評価は世界TOP100に近いものがあります。

 

 

61. Congressional (Blue)
62. Old Sandwich
63. Wade Hampton
64. Plainfield
65. Essex County
66. Piping Rock
67. Pasatiempo
68. Kittansett
69. Harbour Town
70. Bel-Air
71. Monterey Peninsula (Shore)
72. Scioto
73. Interlachen
74. Medinah (#3)
75. Hollywood
76. Gozzer Ranch
77. Newport
78. Milwaukee
79. Old Macdonald
80. Shadow Creek

ここではコース造成家Andrew GreenがリノベーションしたミネソタのInterlachenが見事TOP100に復活を果たしました。Andrewがリノベーションした作品ではOak Hill Eastコース, Congressional Blueコース, Sciotoなど多くの名門が高い評価を取り戻しています。1928年にシュライナーズ(フリーメイソンの一派とも言われている)によって建設されたMedinah CC(メダイナ、シュライナーはメディーナと読みます)はOCMのチームによってリノベーションされ、100選に復活を果たしました。かつては世界TOP100の常連だったクラブです。

 

 

81. Moraine
82. Fox Chapel
83. Nanea
84. Aronimink
85. Ridgewood (Championship)
86. White Bear Yacht Club
87. Lodera
88. Pinehurst (No.10)
89. Lawsonia (Links)
90. Monterey Peninsula (Dunes)
91. Cherry Hills
92. Sankaty Head *
93. St. Louis
94. Old Elm *
95. Baltimore Five Farm East
96. Trinity Forest
97. Streamsong (Red)
98. Philadelphia Cricket Club (Wissahickon)
99. Kingsley
100.Gamble Sands

ここでは注目作品を上から順に解説していきます。まず82位のFox ChapelはSeth Raynor/Banksのクラシックコースで4年ぶりに全米TOP100に返り咲きました。87位のカリフォルニアのLaderaはHanse/Wagnerの設計チームの新作で広大なスケールを持つ戦略性あるコースです。88位がTom Doakの話題の新作Pinehurst No.10コースです。現在USオープン開催でも知られるDonald Rossの至宝No.2コースの次に評価されており、パブリックとはいえ、ティータイムは宿泊者優先になっています。ドイツ人女性の造成家Angela Moserが現場を指揮したことでも話題になりました。92位のマサチューセッツのSankaty Headはナンタケット島にあり、かつてTOP100に入っていたRees Jonesの作品Nantucket GCのすぐ北に位置するコースです。かつてTom DoakのパートナーだったJim Urbinaの手腕によって枯れていたクラシックコースは見事なまでに蘇りました。Urbinaは他にPasatiempoやWhite Bear Yucht Clubのリノベーションでも名声を得ています。94位に登場したイリノイのOld Elmは1913年Harry S Coltが設計したコースで後にDonald Rossかコース改良をしました、最近になりバンカーをオリジナルに戻す作業をメインにコース全体をrestoreし、一気に評価をあげてきました。話題になったテキサスダラス郊外のPGA本部Frisco OmuniリゾートのFields Ranch East & Westコースだが今回はどちらも100には届かず、ダラスからはCoore & CrenshawのTrinity Forestが96位でランクアップを果たしました。

 

 

 

Text by Masa Nishijima

Photo Credit by GOLF(GOLF.com)