夏到来!
馬だって、ビーチでのんびり過ごしたい?!

馬の真意はさておき。
世界には馬と一緒に海を楽しめるリゾートが点在しています。もちろん、日本でも有名な時代劇シーンのように浜辺を馬で疾走できたり、馬と一緒に泳げたりと、海と馬をテーマにした観光地が話題を集めています。

そんな中、馬との「適度な距離感」を楽しむという、一風変わったリゾート地がアメリカの東海岸・アサティーグ島(Assateague Island)にあります。
ワシントンD.C.から南東へおよそ300キロ。南北に続くアサティーグ島は、メリーランド州とバージニア州にまたがり、その大部分は国や州によって管理地区に指定されていますが、一部はビーチやレクリエーションエリアとして開放され、人も馬も、それぞれが思い思いにビーチを満喫しているのです。

難破船から生き延びた馬たちの末裔でしょうか。
この地に安住した馬たちは現在、ある程度「保護・管理」されながら、自由気ままに暮らしています。

かつての記憶か、馬の本性か。
人間に対しても親和的で、ビーチパラソルにも平気で近づいてきます。
そして、人が隣にいてもゴロンと寝転がることも珍しくないのだそうです。
ただし、大切なのは「適度な距離感」。
触ったり、追いかけたり、もちろん乗ったりもしません。
ただただ、馬と一緒にビーチを楽しむのです。

そんなアサティーグ島の馬たちですが、一年に一度、人と協力して行うビッグイベントがあります。
それが「Pony Swim(ポニー・スイム)」。
毎年7月最後の水曜日に行われ、今年でなんと!97回目を迎えるのです。

これは、保護下とはいえ野生化した馬たちの頭数が増えすぎることで、島の動植物の生態系を壊さないようにするため、一部の成馬と仔馬を集め、オークションによって新たな「住処」を得るために開催されています。

そのオークションの前日、アサティーグ島から対岸のシンコティーグ島(ChincoteagueIsland)まで、馬たちを泳がせるのがポニースイム。
100頭を超える馬たちが、一斉に泳ぎ出す姿は圧巻です。
そして、最初に上陸した仔馬は「King Neptune」又は「Queen Neptune」と呼ばれ、翌日のオークションでも大いなる注目を集めるのです。

人と絆を結ぶのも良し!
ただ、共に居合わせるのも良し!
「適度な距離感」を楽しんでみるもの新鮮かもしれませんね。

https://www.chincoteague.com/pony_swim_guide.html

MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。