2024年、パリオリピックの馬術競技会場はヴェルサイユ城!

2020年、11月26日。圧巻の3D画と共に世界中に配信されたニュースですが、実は、2017年のIOC総会においてパリが開催地に決定した時には、すでにこの構想が出来がっていました。

「グリーンであり、フランスの豊かな文化遺産を強調するオリンピック」を謳い、開催地となったパリ。その両方の主張を見事に兼ね備えた馬術競技会場が、このヴェルサイユ城なのです。

流石、フランス!これぞ、フランス!!

ただ、喜んでばかりもいられないのも現実。

コロナパンデミックの影響から、4億ユーロの経費削減を目指した組織委員会は、会場計画にも改訂を施しました。

幸い、馬術競技場については大幅な変更は無く、クロスカントリーの観客定員を8万人から6万2千人に削減するに止まりました。

もう一つの懸案が、自然生態と遺産保護措置の費用に関する課題。

2012年のロンドン大会では、王立公園の一つ、グリニッジ・パークに仮設の馬術競技会場が作られましたが、パークに存在する貴重な自然環境や景観の破壊に繋がるとして建設反対を訴えた近隣住民との摩擦が絶えず、大会後に施設が撤去された後も、敷地回復に多額の費用が投じられました。

ヴェルサイユ城の計画でも、仮設施設の建設が予定されていますが、ルイ14世による建設から300年以上の歳月を重ね、既に固有の自然環境が育まれています。

ましてや、世界文化遺産に登録され、世界屈指の観光地として愛されるヴェルサイユ城ですから、原状回復も容易ではありません。

それでも、馬術競技の会場に選定されたヴェルサイユ城。

眩しいほど美しい会場で繰り広げられる、磨き上げられた馬たちの競演を想像するだけでも、今から胸が高まります。

 

 

 

MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。