皆さんはどの色がお好みですか?

ビビビッと惹かれるのは、王道の白馬?それとも、精悍な黒馬?はたまた、金色に棚引くタテガミも魅力的?

自らに相応しいパートナー像に想いを馳せれば、まず思い浮かぶのは馬の毛色ではないでしょうか。

馬と共に戦った時代、白毛や芦毛(Gray)は戦場で目立つことから避けられることが多かったのですが、かのナポレオン・ボナパルトはあえて芦毛の馬を好んだと言われています。

ご想像の通り、通常、馬の毛色は遺伝子によって決まりますので、優劣が分かれます。そして、鹿毛(Bay)、栗毛(Chestnut)、青毛(Black)が原毛色と呼ばれ、広く普及しています。言い換えれば、歴史的にみても芦毛を含む白い毛色の馬は少なく、中でも「優秀な馬」を探すとなれば至難の技。だからこそ、時の権力者たちは白い馬を好んだのかもしれません。

白馬優勢!ではありますが、実は日本では数々の黒馬がその名を歴史に残しています。逆落としで有名な一ノ谷の戦いを戦った源義経の愛馬には青海波、太夫黒など青毛馬が名を連ね、戦国一の騎馬隊を誇った武田信玄の愛馬は黒雲、徳川家康の愛馬・白石は名前こそ「白」でしたが、毛色は黒。まさに漆黒の馬だったのだそうです。

となると、どことなく普通感の漂う鹿毛や栗毛ですが、圧倒的多数ですから「優秀な馬」の数も計り知れません。また、人目を引くブロンドのタテガミや尻尾に恵まれる可能性があるのも特徴的です。さらに、三毛猫ならぬ二毛馬?もいます。一般的には駁毛(ぶちげ/ぶち=Pinto/Pattern)と呼ばれる馬が多く、原毛色に白斑がある馬を鹿駁毛、栗駁毛と記します。ただ、馬によって白斑の方が大きければ駁鹿毛、駁栗毛と記されることもありますので、その辺りは意外と曖昧なのです。

そもそも、鹿と栗も人の見た目で決まるのですから、何をどの程度細かく見分けるかによって、その分類には曖昧な部分が残ります。ただ、馬たちの個体を識別要素としては、有効な情報の一つとして、あらゆる場面で重用されています。

実は3色とお伝えした原毛色も、染色体の変異によって新たな色が現れれば、それがまた原毛色として扱われるようになり、「よく見かける毛色」だけでも十数種類、さらに細かく分ければ100種類以上の毛色が存在するとも言われています。

自らが馬の背に乗った姿を思い浮かべてみれば・・・その毛色は何色でしたか?

MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。 幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。