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大雨、台風、そして地震と日本各地で甚大な被害が発生しております。

被災されました皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

そんな中、スポーツで世界の檜舞台に挑むアスリートの姿が、人々に勇気と活力を与えることも少なくありません。それは馬術競技も同じ。北海道で地震の起こった約一週間後、この東京クラシックに所属する玉置徹マッコイ選手は52歳にして初めて、馬術の世界大会・WEGの舞台に立ちました。

玉置選手が挑戦したのは、国際馬術連盟が正式競技と定める中の一つ、レイニング。西部開拓時代のカウボーイたちに端を発したウエスタンスタイルを代表する競技として世界中に広がり、WEGではワールドチャンピオンのタイトルも争われています。

一般的な「馬術」との違いは一目瞭然、そのスタイル。カウボーイハットにウエスタンシャツ、ジーンズにカウボーイブーツ、そして大きなバックル。クラシカルでフォーマルな馬術とは正反対に、実用的で「アメリカ」の象徴と言っても過言ではありません。

競技のルール・・・こちらは些か難解。言うなれば、馬を巧みに操るその技術と正確性を採点方式で競います。それでも、赤茶けた大地を駈けるカウボーイに思いを馳せれば、勝者こそが町一番の伊達男?!

さて、肝心の玉置選手の挑戦ですが、結果は二次予選敗退。決勝進出となる上位20人馬にはわずかに届かず、初めての世界戦を終えました。

日本ではメダルを取れなければ、全て失敗だったかのように思われてしまうかもしれません。けれども、その道の先駆者にとっての「成功」はメダルだけでは測れないのも事実です。

玉置選手は今年2月、ウエスタンの本場・アメリカのオクラホマで行われた大会で日本人初優勝を飾り、3月の世界ランキングでは第10位。経験を実績を積み重ね、今大会に挑んでいたのです。それでも突き返された世界の壁。

競技直後から「次のWEGに向けて努力を続けたい」と話した玉置選手には、悔しさと同時に順位以上の手応えがありました。次は4年後、56歳が切り開く先には、日本人初のレイニング競技でのメダルがあるかも知れません。

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MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。