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ゴルフと馬の共通点を探してみました。

芝生、郊外、ヨーロッパ、イギリス、紳士、カントリークラブ・・・そして、ニッカボッカ?!

言われてみれば似ているゴルフウェアとライディングウェア。ただ、少なくとも現代において、ライディングウェアをニッカボッカとは言いません。けれども、気に掛かると何としても馬との繋がりを探したくなるのが性分。早速、調べてみたところ、その答えは意外と簡単に見つかりました。

ニッカボッカのオリジナルは『ブリーチ』。”馬界”では今でも騎乗用のズボンをブリーチと呼んでいます。ほら、やっぱり!と、何事も馬に起源があると知れば、いつも大満足なのです。

そもそも、ニッカボッカはアメリカ人作家、ワシントン・アーヴィング(Washington Irving:1783-1859)の作品に登場する オランダ人歴史家、ディードリッヒ・ニッカボッカー(Diedrich Knickerbocker)に由来しています。

ニューヨークで生まれ育ったアーヴィングは、ニューヨークがニューアムステルダムだった当時の歴史や伝説をニッカボッカーに語らせるという手法で次々と作品を発表し、その本の中にブリーチ姿のイラストを挿入します。そして、作品が人気を博すると同時に、オランダ人=ニッカボッカー=ブリーチスタイルが定着していったのです。

ブリーチは、腰回りから膝までにゆったりと幅のある膝下丈のズボンで、裾が絞られているのが特徴です。もちろん、ブーツを履くことも容易で、馬に乗るのには最適。中世ヨーロッパでは時の流行に合わせて、ブリーチも多様に変化していきました。その後は、動きやすさも相まってフェンシングやゴルフ、スキー、ハンティングや登山などで好んで用いられるようになり、スポーツウェアとしても活躍の場を広げました。

19世紀後半、自転車の普及と共に、裾が邪魔にならないブリーチスタイルが外出着として注目されます。そして20世紀前半、ついに新たなファッションスタイル『ニッカボッカーズ』が誕生したのです。ニューヨークのお洒落な男性ファッションとして、膝下丈をプラス・ツー、プラス・フォーなどと伸ばし、ハイソックスと合わせるスタイルが全世界へと発信されました。

ちなみに、ニッカボッカーズも日本ではニッカボッカと省略されていますが、実はニッカボッカー(Knickerbocker)と語尾を伸ばせば、オランダ人移民のこと。今でもニッカボッカーは彼らの子孫を意味しています。時には生粋のニューヨーカーをあえて、ニッカボッカーと強調することもあるのだそうですよ。

 

MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。