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映画「ノッティングヒルの恋人」で、ジュリア・ロバーツ演じる大女優、アナ・スコットに会うため、記者に扮したウィリアム・タッカー(ヒュー・グラント)が、掲載誌の名前を尋ねられ、咄嗟に目に入った「Horse and Hound」と答えます。

実はこの「Horse and Hound」は、豊かな馬文化を誇るイギリスにおいて、最も古い馬術の専門誌なのです。その創刊は1884年。以来、週刊でイギリス国内外のあらゆる馬情報が掲載されています。もちろん、Horseとは馬。Houndとは猟犬。確かに、この「Horse and Hound」はハリウッドならずとも、誰もがイギリスから連想する”あの”情景を思い出させてくれるのかもしれません。

 

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あの情景とは、そう、Fox Hunting!! そして今年もその季節がやってきました。

本来、農作物や家畜に被害をもたらす赤キツネを退治することを目的に広がったフォックス・ハンティングは、収穫を終えた冬場に行われてきました。垣根を取り払い、自由に駈け回ることを互いに了承し、共通の敵であった赤キツネを駆除する。まさに地域住民が一丸となって取り組んだ恒例行事だったのです。

実際に赤キツネを追うのは猟犬。中でも人に対して従順で、特に鼻の利く品種が重用されました。となれば、土地の有力者たちにとって優秀な猟犬を数多く所有することもまた重要になります。当然、品種改良や血統の登録、管理も進められるようになり、挙ってその繁殖に乗り出しました。そして、最もフォックス・ハンティングが持て囃された時代を象徴したのが「Horse and Hound」だったのでしょう。

ちなみに、犬を見分けることが苦手な私はこのタイプを「ビーグル」と総称しており、アイルランドでフォックス・ハンティングを試みた際、「彼らはビーグルね!」と言うとマスターから「No!これは◯◯ハウンドだよ!」と正式な名称を教えられました。

それもそのはず、フォックス・ハンティングの実施を管理する協会では、主催するグループを登録すると同時に、猟犬についても様々なルールを定め、ウェルフェアに努めているのです。実際にフォックス・ハンティングを終えてからこの話を伺い、重要な彼らの存在に改めて気付かされた瞬間でもありました。

 

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以前にもお話しさせて頂きましたが、現在、イングランドやウェールズ、スコットランドでは、実際に狐を狩る行為は禁止されています。それでも、長年の風習がそう簡単に無くなる訳でも無く、姿を変え、形を変え、今もその名残を留めています。

また、アイルランドなどイギリスに近い周辺地域では禁止に至っていない場所も多く、今でもフォックス・ハンティングが行われています。

次回は是非、その体験談をお届けしたいと思います。

MILKY KORA

馬ジャーナリスト / Maraque編集長。京都生まれ。
幼い頃から馬術を嗜み、乗馬専門誌の編集を経て馬ジャーナリストとして独立。2010年に世界最高峰のホーススポーツを伝えるEquine Journal Maraqueを、さらに2014年にはより専門性の高いMaraque for Professionalを創刊。現在は日本で唯一のホーススポーツ専門誌として発行を続ける傍ら、ライダーのマネジメントや馬イベントの開催など馬に関する幅広い活動を行っている。